【名護】1月19日投開票の名護市長選まで1カ月を切った。市内では連日、街宣車から各候補予定者の訴えが響くが、最大の争点となる米軍普天間飛行場の移設問題で国策に翻弄(ほんろう)され、選挙のたびに選択を迫られてきた市民には「選挙に関与したくない」と疲弊感がにじんでいる。賛否をめぐり、地元が二分されてきた経緯から「誰と一緒だった、とすぐうわさになる」と慎重になり外出を避ける人もいるようだ。

 ある日曜日。市街地で支持を呼び掛ける立候補予定者の声に、立ち止まる市民の姿はほとんどない。応援に駆け付けた県議は「前回選挙と比べ、盛り上がりに欠ける」と首をかしげる。

 飲食店で働く女性は、投開票日が毎回、年始に当たることにうんざり顔だ。忘年会や正月の稼ぎ時に客足が鈍り「誰と誰が一緒だったとすぐ広まり、選挙に結び付けられるから警戒して外出を避けているみたい。飲食店はどこも悲鳴を上げている」と困惑する。

 市内のタクシー会社社長も「前回選挙に比べると全然盛り上がらない」と語る。11月半ばごろから出歩く人が減り、12月の売り上げは前年同月より10%減る見込みだ。「飲食店で飲んで、選挙の接待じゃないかと変なうわさをされるのを避けたいようだ」と推測し「選挙のたびに客足は減るが、今回は特に感じるね」と嘆いた。

 市内建設業の男性は「選挙から距離を置きたい、関与したくないというのが本音」と話す。年末の忙しさもあり「どの会社も手いっぱいで選挙運動の動きは鈍い。他にもそれぞれ理由があるんだろうが」と明かす。出足の遅い市民の反応に、選挙関係者からは「年が明けたら盛り上がるのか疑問。このまま投票日を迎えるのでは」と投票率の低下を危ぶむ声も上がっている。