「有史以来の予算」「驚くべき立派な内容」。仲井真弘多知事が、25日の安倍晋三首相との会談や直後の会見でそう語った。とどめは「いい正月になるなあ」

▼県が要望していた基地負担軽減策や新年度予算など首相の回答に対し、知事独特の言い回しで最大限に評価した。「いい正月」発言は、名護市辺野古の埋め立てを27日にも承認する方向と読める

▼知事は問題の本質を忘れ、浮かれすぎてないか。政権は新年度予算で要求の満額以上を付け、単年度主義を超える大盤振る舞いを演出したが、今後8年間3千億円台を確保するというのは首相の口約束だ。この間、安倍政権が続く保証はない

▼首相は、かたくなに日本政府が拒否してきた日米地位協定については「初めて取り組む」と大見えを切ったが、改正とは言い難く米側の厚い壁に挑む動きは微塵(みじん)も感じられない。実質、ゼロ回答だ

▼オープンにした会談はテレビが繰り返した。県関係自民党国会議員が辺野古容認に転じた“琉球処分”会見に続き、今度は「カネで基地を受け入れる沖縄」という本土の空気を醸成させるだろう

▼沖縄を二分し、本土とも分断させる。沖縄の力を弱め統治をもくろむ政権に、知事は手を貸した。「いい正月」が迎えられるのは、わずか3460億円で一石二鳥も三鳥も得る安倍政権だ。(与那嶺一枝)