仲井真弘多知事が名護市辺野古の埋め立て承認を正式に表明した27日、米軍普天間飛行場の県内移設に反対する県民の怒り、失望、落胆が全県に広がった。県外移設の公約は「変えていない」と強弁する知事に、県庁に座り込んだ市民は「うそをつくな」「知事の裏切りを許さない」。悔しさから涙を流す人もいた。この冬一番の寒さとなったこの日、不承認に一縷(いちる)の望みをつないでいた県民の心に、さらに冷たい風が吹き込んだ。それでも「まだまだ諦めない」と、新基地建設阻止へ心を合わせた。(1面参照)

会見で辺野古埋め立て承認を表明し、身ぶりを交え主張を展開し、記者の質問に時にいら立ちをあらわにする仲井真弘多知事=27日午後、那覇市寄宮・知事公舎

 県内移設を認めた知事は記者会見で、「公約は変えていない」と開き直った。過去に基地を受け入れた政治家が使った「苦渋」の言葉すらなく、県外移設も同時に求めるとの独自理論を振りかざした。明らかになったのは、政府の「応援団」を名乗る知事と県民との、決定的な距離だけだった。

 車いすでなく、歩いて登場した知事。隣の川上好久副知事の助けを借りてページをめくり、コメントを一語ずつ読み上げていたが、質疑応答になると一転、雄弁になった。

 「公約を変えていないから説明する理由がない」「政府はだますものだとは夢、思わない。あなたがたは信用されないんですか」

 県外移設公約と県内移設承認の矛盾を、記者から「日本語能力」の問題として指摘されると、目を見開いて反論した。「今のは質問ですか、私に対する批判ですか」「あんた並みには(能力を)持っている」

 過去の政治家は基地受け入れ表明で「苦渋の選択」(稲嶺恵一前知事)、「人生で最も困難な選択」(岸本建男元名護市長)などと説明した。比嘉鉄也元名護市長は辞任した。しかし、「自信家」と評される仲井真知事は一切の感情を口にせず、進退を問う質問も「あなたに聞かれる理由は一つもない」とはね付けた。

 記者会見は当初県庁で予定されていたが、県庁が抗議の市民に取り囲まれた段階で、「知事の体調不良」などを理由に急きょ知事公舎に変更。県政記者クラブは「県庁で会見すべきだ」と抗議した。結局、知事は上京した16日から11日間、一度も職場に入らないまま、基地を受け入れた。

 会見が開かれた公舎の約50畳の一室は報道陣、知事や県幹部、警察官ら約100人ですし詰め状態に。カメラマンの額からは汗が流れ落ちた。開始から37分、司会が会見を打ち切ろうとすると、報道陣が猛抗議。「あと3問」と譲った司会に、知事は「そんなにはないよ」と終了を促した。51分がたち、質問が続く中で立ち上がった。「こんな会見でいいのか」と詰め寄る記者に、「どういう意味ですか」と返し、警護の警察官に守られて会見場を去った。