【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題は仲井真弘多知事の27日の埋め立て承認で、来年1月19日投開票の名護市長選へと焦点が移った。知事は「(移設の)実現可能性は高くない」とも言及し、紆余(うよ)曲折を強いられた市民に責任を押しつけたとも受け取られ、市民は再び「最後の審判」を迫られる。「反対」を強く訴え市民の怒りを味方にしたい現職の稲嶺進氏(68)と、「推進」の波に乗りたい前県議・末松文信氏(65)の一騎打ちに一段と注目が集まる。(北部支社・浦崎直己)

 仲井真知事は会見で、稲嶺市長や市民の反対などから移設の難しさを指摘。記者から実現性を高める取り組みを問われ、「まだ考えていない」「政府がこの困難をどう乗り越えていくか注目したい」と“人ごと”のように話した。

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 稲嶺市長は、知事承認後の会見冒頭で「こういう形になるとは、夢にも思わなかった。辺野古に(新基地を)造ることは、絶対に認めるわけにはいかない」と怒りをにじませた。

 知事の言う「困難さ」について、政府による2004年の辺野古沖のボーリング調査で市民が体を張って止めた過去などを説明。「はっきりと名護の民意は(容認とは)違うんだと示すことが、やるべきこと」と述べ、再選に向け最大限取り組むことを誓った。

 翌28日には早速、稲嶺陣営を応援する議員らが駆け付けた。県議会社民・護憲ネットの8県議が名護入りし激励。自民党県連の移設容認を受け離党した、南風原町に住む仲里利信元県議会議長も駆けつけ市内で遊説し、後押しした。

 同日夜には、生活の党が名護事務所開きするなど、移設阻止に向けた体制が急ピッチで進む。

 稲嶺氏は市内4カ所の街頭で演説。「私は公約を絶対に破りません」「名護市が頑張れば沖縄が変わる。名護が最後のとりでになる」と力強く訴えた。

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 末松氏は知事承認後の会見で「私としては既定方針だった」と評価。「市民の理解も進むのではないか」と追い風となることを期待し、「(当選の)結果が得られたならば、(移設を)推進していきたい」と淡々と述べた。翌28日には、自民党県連が末松陣営で議員総会を開き、全面支援する方針を確認した。

 候補予定者の一本化に続く知事承認で、県連も「辺野古移設を選択肢から排除せずに、普天間飛行場の危険性除去に取り組む」考えを有権者に積極的に説明することで一致。勢いに乗って、県連所属議員による市内の遊説や企業訪問、地域回りなどを活発化させる。