政府が世界自然遺産への登録を目指している「奄美・琉球」の候補地が沖縄本島北部(東村、大宜味村、国頭村)と西表島、奄美大島、徳之島の4島に絞られた。

 ことし1月に環境省が登録に向けた暫定リストに奄美・琉球を追加することを決め、ユネスコに関係文書を提出したが、「南北約850キロに点在する島々や海域」とした登録エリアが「範囲が広すぎる」と指摘され、絞り込みを求められていた。

 今後政府がユネスコに関係文書を送り、来年1月にも暫定リストに載ることになった。今回決定した絞り込みで作業が一歩前進したといえよう。早ければ、2016年に国内5件目の世界自然遺産として登録される予定だ。

 政府は今後、候補地を国立公園に指定するなどして、15年1月以降、ユネスコに推薦書を提出する予定。推薦されると国際自然保護連合(IUCN)の調査を経て、ユネスコの世界遺産委員会で決定される。

 地殻変動によって大陸から切り離された奄美・琉球は、その土地固有の動植物やIUCNのレッドリストに掲載されている希少種の存在などから、生物の多様性を保全する重要地域であると評価されている。

 ただ、課題は残されている。国立公園化に向けた地元の地権者への説明のほか、マングースなど外来種対策だ。また、沖縄本島北部の広大な米軍北部訓練場は、「国内法による十分な保護担保措置がとれない」ことがネックになっている。

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 さらに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた国の埋め立て申請を仲井真弘多知事が承認したことで、重大な懸念材料が加わった。

 国の申請に対し、県環境生活部は、ジュゴンやウミガメの保護、投入土砂に混入する恐れのある外来生物など「自然環境保全について懸念が払拭(ふっしょく)できない」との見解を示した。県は国への承認書で環境監視委員会の設置を求めているが実効性は不透明だ。

 やんばるの山と辺野古沿岸域は近距離にあり、同一のエリアといっていい。外来種が侵入すれば、生態系への影響は計り知れない。

 自然遺産登録の手続きとしてIUCNによる現地調査がある。IUCNは過去にノグチゲラ、ヤンバルクイナと生息地の保全、辺野古のジュゴン保護を求める勧告を出している。基地建設のための公有水面埋め立てを調査団がどう判断するだろうか。

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 本土復帰60年を迎えた奄美では、世界自然遺産登録へ向けた機運が加速している。

 長年、自然保護に取り組んでいる自然写真家の常田守さん(60)は「奄美の自然は、復帰60年を経て本来の姿に立ち返っている。自然遺産登録に向けて、本物の自然の魅力をツアー客に紹介できるガイドの養成が必要」と話す。

 沖縄と奄美。それぞれの島の固有種を求めて世界から訪れるツアー客の目は高い。その要求に応えるには、世界的水準の自然環境保全は不可欠だ。国と地元の本気度が問われている。