スポーツには見る者を前向きにさせる不思議な力がある。ひたむきにプレーする選手の純粋な姿は、無条件に感動を呼び起こす。苦境に置かれている者にとってはなおさらだ。困難に向き合う元気をもらい、それを乗り越えるための勇気を奮い立たせる。

 久米島でキャンプしているプロ野球の楽天がそうだった。球団創設9年目にしてパ・リーグを制し、そのまま日本一に駆け上った。

 「がんばろう東北」を合言葉に勝ち取った日本一は、選手と被災者の二人三脚のたまものだ。選手らは大震災直後から募金活動をするなど被災者に思いをいたしながらプレーし、被災者は応援することによってチームの活躍に自らを重ねる。「東北の底力」を見る思いだった。

 東日本大震災の復興は、なお道半ばだが、被災地にもたらした勇気と希望は計り知れない。スポーツの力である。

 2020年の夏季五輪の東京開催を呼び込んだ9月の国際オリンピック委員会(IOC)における最終プレゼンテーションでは、被災地の宮城県気仙沼市出身の女子陸上走り幅跳びのパラリンピック選手である佐藤真海さんのスピーチが感動的だった。

 大学在学中に骨肉腫で右足を失ってもくじけず、陸上で自信を取り戻し、故郷が被災してもアスリートとして被災地を支援。その中で、スポーツには「新たな夢と笑顔を育む力」「希望をもたらす力」「人々を結びつける力」があると訴えた。楽天に通じるスポーツの力である。

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 県内のスポーツ界は、ことしも目を見張らされるような活躍が続いた。

 沖縄尚学が11月、明治神宮野球大会で県勢として初優勝の栄冠を手にした。昨年は初戦敗退していただけに、目標は1勝と控えめだったが、結果は「想定外」(比嘉公也監督)の優勝。想定外を可能にしたのは、最後まで試合を諦めない選手たちの驚異的な粘りだった。

 日本文理(新潟・北信越)との決勝戦。七回表で0-8。大会史上最大差をひっくり返した。ミラクルとしか形容ができない大逆転劇を演じ、沖縄の高校野球史に新たなページを刻んだ。

 高校野球では10月に県内で開かれた秋季九州大会で、これまた大会史上初となる沖縄尚学と美里工業の県勢同士の決勝戦となった。

 沖縄尚学が2年連続頂点に立ったが、来年3月の選抜高校野球大会には準優勝の美里工業との2校出場は確実だ。

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 ゴルフ王国はニューヒロインが登場するなど揺るがない。男子では12月、プロ転向12年目の宮里優作が念願のツアー初優勝。「藍ちゃんのお兄ちゃん」の返上だ。女子では比嘉真美子がルーキーイヤーで2勝する快挙。日本を代表する先輩らを追い越すような活躍を期待したい。

 米国で8月に開かれた中学硬式野球のポニーリーグ世界選手権では沖縄選抜が日本代表として初優勝を果たした。

 紹介したのは県勢のほんの一部。若者らが世界、全国大会で臆せず活躍する姿は県民に自信と誇りを与える。