2014年の県内政局は、19日投開票の名護市長選や9月の統一地方選、11月に予定される天王山の知事選など主要選挙の当たり年だ。知事選の人選次第で、那覇市長選とダブル選挙になる可能性もある。米軍普天間飛行場の返還問題で、県政与野党がそろって県外移設を求める「オール沖縄」が崩れ、保守政界でもスタンスが割れていることで、知事選の構図が複雑化するのは必至。政府が辺野古移設を進める中、沖縄の将来を占う重要な年となる。

稲嶺・末松氏 一騎打ちへ
名護市長選 1月19日

 【名護】任期満了に伴う12日告示、19日投開票の名護市長選は、現職の稲嶺進氏(68)=無所属、社民、共産、社大、生活推薦=と、新人で前県議の末松文信氏(65)=無所属、自民推薦=が出馬を表明、激しい前哨戦を繰り広げている。最大の争点となっている米軍普天間飛行場の市辺野古移設問題では稲嶺氏が反対、末松氏は推進を訴える。選挙結果が移設問題に大きな影響を及ぼす可能性があり、国内外から注目を集めている。

 昨年5月に出馬表明した稲嶺氏に対し、野党候補者は人選が難航した。同10月上旬には市羽地出身で副知事の川上好久氏を擁立しようと打診したが、川上氏が固辞。その後、辺野古移設への姿勢の違いや、候補者選考の経緯などをめぐり、末松氏と前市長の島袋吉和氏が出馬を表明し、野党保守系が分裂する状態が続いた。

 自民党本部も調整に入り、昨年12月25日に末松氏が辺野古移設を「条件付き容認」から「積極的推進」に踏み込んだことで、島袋氏が出馬を辞退し、一本化。稲嶺氏と末松氏による一騎打ちとなる公算が大きくなった。

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 稲嶺陣営は10月上旬に事務所開き。稲嶺氏は「すべては子どもたちの未来のために、すべては未来の名護市のために」をスローガンに掲げ、移設反対のほか、待機児童の解消など子育て支援や教育環境の整備、雇用・観光の振興、地場産業の確立などを訴える。

 市民目線で進めた1期目の実績として、再編交付金に頼らないまちづくりや、建設事業費の増大、中学生までの通院入院費無料化などの子育て支援施策などをアピール。地域別や業界別などに分けて政策を示し「公約の実現」を強調する。

 「候補者だけでなく、国も相手」と移設阻止を目指し、保守系や革新系の与党市議15人が団結。女性部や退職教員らが中心となり運動を展開し、女性部大会や地域懇談会で勢いをつける。市内5カ所に後援会の支部事務所を開設したほか、電話での呼び掛けなどで支持拡大を目指す。

 末松氏は10月31日に出馬会見。同じ日に後援会事務所を立ち上げ、急ピッチで運動を展開する。スローガンは「夢と希望のある名護市」。

 12月6日には安倍晋三首相から「全面的な支援」を受けることを確認。女性部・青年部の決起大会や建設団体の決起大会などで、自民党国会議員や川上副知事、党県連の幹部らも登壇するなど、国・県とのパイプの太さをPRする。

 辺野古移設を推進し、凍結された名護市の再編交付金の不交付分42億円と来年度以降の同交付金増額を要求するほか、北部地域における国・県の公共事業の倍増、市役所の市街地移転・防災拠点化、基幹病院の設置などを政策に掲げる。

 市議会「礎之会」の市議9人や地元経済界を中心に体制を整える。地域回りに力を入れるほか、地域懇談会や20~30代との意見交換会を実施するなど政策の浸透に奔走する。(浦崎直己)

仲井真氏の去就焦点
沖縄県知事選 11月

 仲井真弘多知事の去就が最初の焦点となる。

 昨年秋までは経済界などから3選出馬への期待感があったが、県議会11月定例会直前に座骨神経痛を患ったことで、体調が急速に悪化。移動に車いすを使う場面も目立ち、与党内からも「今期限りの勇退が既定路線」との見方が相次いでいる。

 知事が3選不出馬を決めた場合、県政与党の自民党県連、公明党県本部は、両党と経済界や各種団体、保守系首長などで構成する候補者選考委員会を立ち上げ、人選に入る見通しだ。

 現時点では、副知事に起用された時点で「後継候補」と目されていた高良倉吉氏(66)が有力候補の一人に位置づけられる。

 自民党県連幹事長を経験した保守本流の翁長雄志那覇市長(63)は、4年前も名前が挙がった候補者だが、普天間飛行場の県外移設を堅持していることが政局の構図を複雑化させそうだ。

 県内移設を容認した自民党県連、埋め立て申請を承認した仲井真知事とは、普天間政策で一線を画しており、翁長氏が県外移設の政治姿勢を貫くかどうかで擁立の枠組みが変化する可能性がある。

 県議会野党会派の一部にも翁長氏擁立の動きがあるなど「保革の『のりしろ』に立っている」(自民県連幹部)状況で、革新陣営から擁立の動きが出ることも想定される。

 保守系候補では、前沖縄観光コンベンションビューロー会長の安里繁信氏(44)を推す動きも、日本青年会議所(JC)関係者などを中心に浮上している。

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 4期続いている保守県政からの県政奪還を目指す革新陣営は、1月19日投開票の名護市長選後に人選を本格化させる構え。社民党県連、共産党県委員会、社大党などによる候補者選考委員会を、早ければ2月にも立ち上げる。

 4年前は革新統一候補の伊波洋一氏の擁立が8月と出遅れたこともあり、早期の人選で浸透を図る必要があるとの認識で一致している。

 革新側は、昨年7月の参院選で当選した社大党委員長の糸数慶子氏を支援した、生活の党県連と、県議会会派の「県民ネット」を加えた枠組みの構築を模索する動きもあり、選考委が4党1会派の構成になる可能性もある。

 候補者は、琉球大学法科大学院教授で憲法学者の高良鉄美氏(59)が有力視されている。

 昨年の4・28政府式典に抗議する「屈辱の日」沖縄大会で共同代表を務めたほか、沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会の共同代表としても存在感を示しており、各党から擁立論がある。

 県議会の重鎮で、野党代表者会議の座長を務めた経験もある、社民党県連委員長の新里米吉氏(67)も擁立候補者の一人だ。県議4期の実績と県連トップを務める知名度、労働組合との太いパイプによる集票力などへの期待感から、擁立論がある。

 元外交官で、普天間飛行場の辺野古移設阻止を訴えている、作家の佐藤優氏(53)を推す声もある。母が久米島出身であることや、各メディアへの露出で高い知名度を誇ることから「無党派層への訴求力が強い」(県議会野党幹部)との期待感がある。

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 政党そうぞう代表で、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(52)も、周囲に出馬の意欲を示している。

 そうぞうは昨年12月24日に沖縄民主党と研究会の発足で合意するなど、下地氏と民主の喜納昌吉代表が急接近しており「下地氏の知事選出馬に向けた枠組みづくりの一環ではないか」(そうぞう関係者)との見方がある。(吉田央)