家族の健康、商売繁盛、縁結び…。初詣は絵馬に願い事を込めた人も多いだろう

▼もともとは神様の乗り物として馬を奉納していたのが、次第に馬の絵を描いた木の板で代用されるようになったそうだ。「万事ウマくいく」という語呂合わせそのものに、いい1年をもたらしてほしい

▼沖縄では戦前、在来馬による琉球競馬「ンマハラシー」が各地で催されてきた。速さではなく、足並みや姿勢の優雅さを競う。昨年、沖縄こどもの国で70年ぶりに復活して話題を呼んだ

▼騎手の乗馬服や馬の装飾布に使われるのは、沖縄市の「知花花織」。歴史のある娯楽行事と工芸品の粋な組み合わせは、午(うま)年を祝うのにふさわしい。今年は3月に開かれる

▼沖縄の在来馬は小柄で穏やか。農作業などに用いられ、人々と二人三脚で歩んできた。運命が暗転したのは、戦争前夜。軍馬を生産するため雄は去勢され、雌は本土の大型種との交配が進んだ。1943年、ンマハラシーは途絶える

▼特定秘密保護法、他国への武器供与、靖国神社参拝、普天間飛行場の県内移設ごり押し。ついに安倍政権は暴走を始めた。軍馬復活こそないだろうが、ンマハラシーを愛(め)でた平和な時代の空気は脅かされている。時計の針は逆戻りさせない-。そう絵馬に誓った人も、また多いに違いない。(鈴木実)