【西原】西原町安室の道沿いに、なんと高さ約4メートルの「ジョニ黒」ボトルがある。復帰前後まで続いた洋酒ブームを証明するかのようだ。聞けばその昔、浦添市当山のバークレー前に酒屋の看板として立てられていた1本。それを造園業を営む神谷朝貞さん(64)が「これは上等の水タンクになる」と驚きの発想で購入したという。

西原町の町並みを背景に横たわるジョニーウォーカーのオブジェと神谷朝貞さん(左)、朝太さん=11月、西原町安室の「平成造園」

ジョニーウォーカーのオブジェがある場所

西原町の町並みを背景に横たわるジョニーウォーカーのオブジェと神谷朝貞さん(左)、朝太さん=11月、西原町安室の「平成造園」 ジョニーウォーカーのオブジェがある場所

 世界的に有名なスコッチ・ウイスキーのジョニーウォーカー黒ラベルを模したオブジェがなぜ、植木に交じって飾られているのか。

 「20年近く前かね、知人が『面白い廃品があるけど買わないか』って持ってきた」

 巨大ボトルを所有する平成造園の神谷さんが種明かしをする。ハイビスカスやヤシなど造園用に数百の鉢を育てる神谷さんは「水タンクは通常10万円はする。これなら2、3万だというし、素材も船と同じファイバー製で丈夫だ」と即決。下の部分にさっそく蛇口をつけ、ホースをつないで水をためられるよう細工をほどこした。

 息子の朝太さん(26)は、このジョニ黒が町内の山の中に置かれていたのを覚えている。

 「横がため池になっていて、山ガメを放したんですよ。小学生のころかな。今思えば森の中にウイスキーって(テレビ番組の)『ナニコレ珍百景』ですよね」

 その後ある従業員が、せっかくの水タンクをアピールしようと町安室の事務所入り口前にトラックで移動させた。ところが同業者から「お前たちは酒屋か」と笑われたため「ちょっと奧」に引っ込めたという。今では、ボトル脇にタイ産の真っ赤なサガリバナを植え、花が見ごろになるとライトアップする。

 「お父さんの発想が面白いのよね。美的センスっていうのかね」

 妻の江美子さん(61)は愛情いっぱいにほほ笑む。朝貞さんが木製の電柱を使って建てた小屋もお気に入りで、ランを飾った窓辺でゆったり過ごす。

 「こないだの台風でジョニーウォーカーが一回転してたよ」「来年西原町の新庁舎ができるから、斜めにしておかないで立てようかね」「あれは真ん中から二つに割ればいいボートになるんだけどな」

 神谷一家のだんらんはジョニーウォーカーとともにある。