日本の政党政治が岐路に立たされている。2012年の衆院選で自民党が圧勝し、昨年の参院選でも与党が過半数を得た。「自民1強」の下、野党は混迷を深め、安倍政権の“暴走”に歯止めをかけられる勢力はない。

 2度の国政選挙を経て衆参の「ねじれ」を解消した安倍政権は、野党との丁寧な議論を積み重ねることもなく「数の力」に頼る強引な政治手法に転じた。同時に「政権カラー」もこれまでの経済重視の姿勢からタカ派色を鮮明にしている。

 これに対し、本来なら対抗軸となるべき野党の存在は、あまりにも弱々しい。特定秘密保護法案の審議では、みんなの党と日本維新の会が修正協議で合意するなど、補完勢力の役割を果たした。法案審議でも政府側を追い詰めるような迫力に欠けた。

 官邸主導で重要な決定を推し進める安倍晋三首相の手法は、党の発言力を低下させ「政高党低」と呼ばれる状況をつくり出している。

 自民党内でも多様な論議でバランスを働かせる動きがない。首相や官邸に異論を唱えることができない空気となっているようだ。安倍首相が靖国神社を参拝したのも、独断によるものだった。

 右傾化を強める安倍首相に対し、与党内部からも「国民の支持が離れかねない」と懸念する声も出ている。しかし、安倍首相に対するチェック・アンド・バランス機能が、失われているのが現状であり、極めて危うい。

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 安倍政権の先鋭化した強権手法は、米軍普天間飛行場の移設問題での沖縄に対する対応で一層あらわになった。

 昨年11月、東京の自民党本部で県関係国会議員は、石破茂幹事長から強引に辺野古移設容認をのまされた。離党勧告をちらつかせるなど、とうてい民主的とはいえないものだった。

 その後の自民党県連の方針転換、仲井真弘多知事の埋め立て申請承認もすべて官邸が描いたシナリオに沿ったものだ。特に知事と官邸の「二人三脚」ともいえる承認までの芝居がかった演出は異常だった。

 知事は一週間以上も東京にとどまり、ひそかに菅義偉官房長官らと密会した。

 県民の負託を受けた知事、国会議員、県議が公約を破棄したことは代表制民主主義を破壊し、県民の政治に対する信を奪った。その罪はきわめて大きい。

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 「1強」の自民党だが、国民の支持基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。

 12年の衆院選で自民は300小選挙区で得票率は43%だったが、議席数は占有率79%の237議席に達した。半数にも満たない民意が圧倒的な与党をつくったのだ。得票率と議席獲得率とが乖離(かいり)し、死に票が増える小選挙区制の問題点が浮き彫りになった。

 共同通信の昨年12月の世論調査では政権交代可能な野党再編が「必要」「どちらかといえば必要」との回答は計63%に上った。安倍政権にブレーキをかける健全な政党政治の再生が必要だ。