ヴェスヴィオ山の大噴火で埋もれた古代ローマの街ポンペイには多くの落書き・広告が残されている。目立つのは公職を選ぶ「選挙ポスター」。数は2800件を超える。『古代ポンペイの日常生活』(本村凌二、講談社)で紹介している

 ▼路地に面した人家の壁に描かれ、名前だけや職能団体の推薦、高潔な人格の紹介など内容はさまざま。劇場建設などを打ち出すのもあり、古くから利益誘導型の戦術が繰り広げられていたことが分かる

 ▼沖縄は1月の名護市長選に始まり、石垣、沖縄などの市長選、統一地方選、さらに11月の知事選と続く。各地で立候補者の名前や政策、人柄などをアピールするポスターやビラがあふれるだろう

 ▼「政治は、理想郷づくりを争う壮大なドラマ」。本紙での戦後政治を長く報道した故・当山正喜さんはそう表現した。選挙は、沖縄や日本、地元の将来像を論戦する格好の舞台になる

 ▼問題は、将来像の中身だ。自民党県連や国会議員、保守系の首長らが米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設容認に転換。仲井真弘多知事も公有水面埋め立てを承認した

 ▼最大の争点は普天間問題。その選択は10年、20年どころか子や孫の世代にまで影響が及ぶ。主席公選などの三大選挙で燃え、転換点になった1968年の様相を呈し始めている。(与那原良彦)