実に多彩な顔ぶれである。一人一人がそれぞれの分野で大きな影響力を持っており、声明のもつインパクトは大きい。

 言語学者のノーム・チョムスキー、映画監督のオリバー・ストーン、マイケル・ムーア、ノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア、歴史学者のジョン・ダワー氏ら米国やカナダ、欧州、オーストラリアの識者29人が7日、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する異例の声明を発表した。

 「私たちは沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のためにたたかう沖縄の人々を支持します」

 声明は、辺野古移設が「長年にわたる沖縄の苦しみを恒久化させることにもつながる」と指摘し、普天間を沖縄の人々に直ちに返すべきだ、と主張している。

 私たちは、世界的に著名な識者らのこの声明を、県内移設に反対してきた多くの県民への励ましのメッセージ、だと受け止めたい。

 沖縄戦以来、戦争と軍事基地に脅かされ続けてきた県民は、公平・公正な基地負担や、平和的生存権、豊かな自然環境の保護など、国境を超えて共有することのできる「普遍的な理念」を掲げて非暴力の抵抗を続けてきた。沖縄の異議申し立てに世界が好意的な反応を示し始めたのである。

 この動きは、さらに世界大の運動に拡大していく可能性がある。「辺野古移設は実質的に不可能」だとみるのが現実的な見方だ。

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 政府の中には、辺野古沖での海上反対行動に対処するため、反対者を刑事特別法によって逮捕する考えもある。そういうことが現実に起これば、これはもう「現代版・銃剣とブルドーザー」というほかない。

 日本の主権の及ばない軍事植民地状況の中で建設された普天間飛行場の「基地既得権」を永久に維持するため、今度は、米国承認の下で日本政府が、強権を発動するというのである。こんな理不尽なことが許されていいわけがない。

 両政府はこれまで、辺野古が唯一の選択肢、だと強調してきた。だが、抑止力を維持しつつ辺野古移設を断念する方法はある、と指摘する専門家は国内外に少なくない。

 「辺野古を断念し沖縄の基地負担を実質的に軽減する」という前提に立つかどうか-それが分かれ目だ。

 声明は、仲井真弘多知事の埋め立て承認について「沖縄県民の民意を反映したものではない」とも指摘している。

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 民意とかい離しているだけではない。政策決定をめぐる透明性を著しく欠き、今なお説明責任が十分に果たされていない。

 県議会は9、10の両日、仲井真弘多知事が名護市辺野古沖の埋め立てを承認して以来初めて、臨時会を開く。

 仲井真知事は多くの県民が抱いている疑問に正面から向き合い、ことの経緯を分かりやすく説明しなければならない。これは県民へのサービスではなく、知事が果たすべき政治的義務である。