民主主義が壊れ始めている、ように見えるのは錯覚だろうか。昨年暮れからの政治を見るにつけ不安がよぎる

▼普天間飛行場の名護市辺野古への移設で、仲井真弘多知事は埋立法に「適合」したから行政手続きとして承認したまでと繰り返すが、当時、事務方の作業は完全に終わっていなかった。政権が求めたスケジュールに合わせて政治的に判断したとしか映らない

▼同じころ、安倍政権は南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する韓国軍に銃弾1万発を譲渡した。緊急性と人道性を理由に、過去の政府見解をあっさりと覆し、国是の武器輸出三原則に触れる判断を即決した

▼韓国側は銃弾を「予備」としており、緊急性があったかもはっきりしない。政府はトルコと戦車用エンジンを共同開発し、さらには三原則を緩和する新たな指針を策定するというから「例外」とした譲渡決定は前のめりの既成事実化だ

▼昨年9月に安倍首相が国連総会の演説で、外交・安全保障の基本理念として掲げた「積極的平和主義」の拙速な具現化でもある

▼日本の「失われた20年」を国際社会の中で取り戻し存在感を示そうと、脇目もふらずひた走っているようだ。外交・安全保障分野で、十分に民主的な手続きを経ずに進めることほど怖いものはないと歴史が証明している。(与那嶺一枝)