仲井真弘多知事は辺野古埋め立て承認に至った自らの説明に、どれだけの県民が理解を示すと思っているのだろうか。説明すればするほど、県外移設の公約と、埋め立て承認との矛盾が噴き出す。理解の得られない独り善がりの詭弁(きべん)としかいいようがない。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部埋め立てを承認した知事を、県議会全7会派の代表がただす臨時会の本会議が9日開かれた。

 知事は県が政府に要請した普天間の5年以内運用停止後に辺野古に9・5年かけて新基地が完成すれば、辺野古に回帰するのかを問われ、「原理的にはそういうものになる」と認めた。県外移設は暫定的で、知事が辺野古移設と両立するというのはそういう意味だ。支離滅裂である。

 県環境生活部が「懸念が払拭(ふっしょく)されない」と指摘していた政府の埋め立て申請について、県土木建築部が最終段階まで保留としていた「環境保全」対策が一転「適合」としていたことも明らかになった。決定過程が透明性に欠ける。

 土建部は昨年12月23日まで環境保全対策について「保留」としていたが、政府が何の追加的な保全対策も提示していないにもかかわらず、3日後には「適合」と決定した。土建部は環境監視委員会を設置することを留意事項に挙げたが、承認ありきだったのではと考えざるを得ない。

 知事は議会で追及され、政府との水面下の交渉で「不承認であれば展望が開けない」との印象を持ったことを認めているからだ。

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 与党の自民会派代表は、知事の承認を擁護するような質問をしたが、知事が安倍晋三首相に要請した普天間の5年以内運用停止など4項目の基地負担軽減策の実効性の希薄さを逆に浮き上がらせた。担保する物は何もなく、口約束にすぎないからである。

 知事は面談で、首相が普天間の危険性除去が極めて重要との認識を共有し、本土における沖縄の基地負担軽減を十二分に行うべきとの考えを示したことに政府の本気度をみている。首相は日本政府としてできることはすべて行うとも言明したが、首相の言葉の裏を返せば、米国という交渉相手がおり、できないことはできないということだ。

 自民党県連は昨年11月、党本部の圧力に屈し、公約の県外移設をかなぐり捨て、辺野古移設を容認した。傍聴席の県民と非難の応酬をする自民会派議員らの姿は、政治家の劣化を自ら体現している。

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 知事は普天間の危険性除去を強調する中で「辺野古だと危険性がぐんと落ちる」、名護市で対立を生んだとしても「地域との関係を含め防衛省の仕事」などと埋め立て承認をした当事者としての責任を回避する答弁をした。いったいどこの知事なのだろう。

 「辺野古移設に駄目だとか、ノーと言ったことは一度もない」と繰り返すに至っては開き直りというほかない。だまされた大多数の県民が悪いとでも言いたいのだろうか。

 政治家の公約は有権者とを結ぶ生命線である。知事と有権者との「信」はもはや消滅したと言わざるを得ない。