県内企業の海外進出の機運が高まる中、建築設計業界でもアジア市場の取り込みを狙う動きが広がっている。日本建築家協会沖縄支部が東南アジアの日系企業の受注獲得に取り組んでいるほか、設計事務所のクロトン(浦添市)は台湾に現地事務所を設置した。国内は人口減少で市場が縮小しており、将来的には建築設計業界でも競争激化が見込まれる。関係者は「アジアの成長を早い段階で取り込み、将来の生き残りに備えたい」とし、先を見据えた事業展開の必要性を強調する。(照屋剛志)

台湾に拠点を設けたクロトンの下地社長(右)と台湾の業務を担う石原夢野氏=9日、浦添市

 同支部は、将来的な競争激化が見込まれる「県外市場は目指さない」と組織決定し、2012年に海外展開の可能性を探る「国際交流委員会」を立ち上げた。昨年から県の支援を受け、タイやベトナムに進出する県内企業の現地法人の設計受注を目指し、研究を重ねている。

 當間卓副支部長(泉設計代表)は「国内唯一の亜熱帯地域の沖縄は東南アジアと気候風土が似ており、県内建築の省エネ技術を生かしやすい」と説明。太陽の動きを細かく計算して日よけルーバーを効率よく設置したり、床下に風を取り込み家全体を涼しくしたりするなど、現地よりも進んだ技術を日系企業に売り込みたい考えだ。

 クロトンは、1日に台湾の高雄市に事務所を開設。台湾に出店する県内企業の店舗設計の受注を目指し、2月にも台湾での営業活動を本格化させる。同社は、台湾進出に合わせ、中国語の堪能なスタッフ1人を本社に採用。県内に進出する台湾企業の店舗設計にまで業務の幅を広げたいとしている。

 同社の下地鉄郎社長は「沖縄はまだ人口が増えているが、近い将来、日本本土のように市場が縮小する可能性が高い」とし、「早いうちから、今後も経済成長が見込めるアジアに出る必要ある」と述べた。

 将来的には、台湾での経験を生かし、タイやインドネシアなどの東南アジアにも拠点を設けたいと意気込む。「ほかの国の県出身者とも連絡を取り合い、どのような展開ができるか模索している」という。