普天間飛行場の移設をめぐり、名護市辺野古の埋め立てを承認した仲井真弘多知事に対し、県議会は前代未聞の辞任要求を決議した。「辺野古にノーといったことはない」と公約違反を認めない知事を、議員らは「不誠実」「県民への冒とく」と厳しく批判した。県議会の傍聴席は連日、市民が訪れ議論を注視。「知事は責任を取るべきだ」。多数の民意を反映した議会に賛意が広がった。

知事の辞任を求める抗議決議が可決され、立ち上がって拍手を送る傍聴者=10日午後10時14分、県議会

 10日午後10時すぎの県議会。約15人の傍聴人や、マスコミのカメラが見守る中、議員が一斉に立ち上がり仲井真知事の辞任を求める決議が可決された。

 採決前、与野党9議員が賛成と反対の討論に交互に立った。

 照屋大河さんら賛成議員は、辺野古の埋め立て承認は公約違反、との立場から「公約は政治生命を賭して守るもの」「歴史に残る県民への背信行為で到底許せない」と批判。座喜味一幸さんら反対議員は、承認と政府の沖縄振興策がリンクしていない前提で知事の経済政策を評価し「危険な普天間飛行場が動こうとしている」などと発言した。

 議員の登壇前には、与野党から交互に拍手が起き、発言の合間には「そうだ」とヤジも。ただ、反対議員が、引き続き県外移設を求める、という知事の姿勢に「矛盾は感じていない」と発言すると野党議員らは失笑。傍聴席の男性1人が「茶番劇をやめろ」と大声を出し退場を命じられた。

 深夜まで傍聴席で見届けた那覇市の会社員の女性(55)は2度目の議会傍聴。「どうしてもこの場にいないといけないと思った。内地の人に『沖縄は貧しいから金でどうにでもなる』と見られているかもしれないが、そうではないと言ってもらえた」と話した。

「民意示した」平和団体

 議会を傍聴した沖縄平和運動センターの山城博治議長は「知事は県政の歴史を揺るがすようなことをやったということ。決議は避けられない。重く受け止めてほしい」と評価した。

 与党議員らが経済政策を評価し反対したことに「8年も知事をやれば一定の成果を残すのは当たり前。問われているのはこれ以上基地を造らせるか造らせないかという、大きな指針だった」と批判。決議の影響を「知事が発信した『沖縄は金で動く』というメッセージを修正し、県民の名誉回復につながる」と語った。

 「決議は当然だ」と沖縄平和市民連絡会代表世話人の真喜志好一さん。9日の知事の議会説明の際、議場で抗議の声を上げた。「独裁者同然の知事に、民意を突きつけた意義は大きい。承認の不当性には今後の訴訟で追及する」と述べた。

 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代共同代表は「国際的にも沖縄が国の押しつけに屈したと思われている中、県民は屈服しないというメッセージを県議会が示した」と喜び「知事は自身がやったことの重大さを認識し、承認を撤回するか、辞任すべきだ」と訴えた。