【名護市長選取材班】名護市長選が12日、告示される。米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴う埋め立てを仲井真弘多知事が承認した後、地元の民意を示す初めての選挙となる。現職の稲嶺進さん(68)は「移設反対」を貫き、新人の末松文信さん(65)は「移設推進」を主張。両陣営とも焦点の辺野古区に事務所を置くが、多くの区民はこの18年間で賛否に色分けされている。告示前日の11日も静かだった。

 「市民の“目線”でまちづくり」。稲嶺さんのキャッチフレーズを張った建物で、辺野古に住む50代男性は市内外からの来客に対応していた。「昼間の事務所で辺野古の人の出入りは少ない。どこに誰がいたとうわさになるのを嫌がる」

 移設容認派が大半とされる辺野古で、稲嶺さんの陣営が事務所を設置するのは前回に続いて2度目。イメージカラーの青いのぼり旗は4年前より多いという。

 稲嶺さんは宜野座高時代、辺野古の親戚宅から通学していたこともあり、男性は「同級生や先輩、後輩もいる。人柄や志も広めていきたい」と語る。

 事務所前を通った30代男性は、「はっきりと意思表示できる人がうらやましい。この地域では、基地問題を議論することさえ難しい」と声を潜めた。

 午前11時すぎ、末松さんを支持する自民党の宮崎政久衆院議員と佐喜真淳宜野湾市長が区内の交差点で演説。「受け入れてもらう側は頭を下げるしかない」と述べ、北部振興に向けた末松さんの政策に支持を求めた。四つ角に立つ人たちは万歳三唱で応じた。

 末松さんを支援する有志の「未来を担う三区の会」は昨年、事務所を構えた。辺野古区の入り口にあり、末松さんのイメージカラーの黄緑色ののぼり8本が道の両側に並ぶ。

 支援する男性は「辺野古はもともと保守地盤。普天間移設と関係なく、地域活性化策への期待がある」。

 事務所横のスーパーにはキャンプ・シュワブの米兵が連れだって訪れた。24歳の男性はシュワブへの基地建設が争点と聞き、「お金は落ちるが、騒音も来るだろう。賛否の意見があるのは理解できる」と語った。