毎年この時期名護市内を見下ろす銭ケ森の山肌に、大きな光の文字が浮かぶ。京都の大文字焼きを思わせる温かいオレンジ色の漢字は、その年に成人を迎えた東江中学校の卒業生らの選定だ

▼光文字は、彼らが山に登り、草を刈ることから始まる。毎週日曜、現場を整えて杭(くい)を打ち、電球を設置。12日のひんぷんガジュマル前での点灯式には、地域の人々や家族も集まり、風物詩を見守った

▼明るく輝く大きな「志」の文字には、新成人の「みんな大人になる。志を高く、強く生きていこう」の思いが込もる。同級生約20人の選定会議で、異論を唱える者はなかったそうだ

▼「心の向かうところ。心にめざすところ」。広辞苑にはそう書かれている。隣に並ぶ動詞「こころざす」は「成しとげようとする目標を心に決める」とある。目指し、掲げたものに、どう進んでいくか、これからが大切だ

▼偶然、その日は名護市長選の告示日と重なった。米軍普天間飛行場の辺野古移設に「積極推進」「断固反対」と対立する2候補者が出馬、市内で舌戦を繰り広げている

▼名護の若者が古里の山に掲げた「大志」を胸に、名護、やんばる、沖縄の未来を誰がどうつくるのか。リーダーを選ぶ大事な選挙に、彼らも初めて有権者として一票を投じる。投開票日は19日。(儀間多美子)