【沖縄】戦後の貧しい時代に、沖縄民謡や地域情報の発信源として庶民に親しまれた「親子ラジオ(ラヂオ)」。その貴重な音源を収録したCD「親子ラヂオは島うたラジオ」が有限会社キャンパスから先月発売された。社長で音楽プロデューサーの備瀬善勝さんは「地方の名人たちの歌声と時代の空気を楽しんでほしい」と話している。

親子ラジオの音源を収録したCDを宣伝する備瀬善勝さん=沖縄タイムス中部支社

 親子ラジオは、市町村などに設置された「親ラジオ(親機)」が放送局の電波を受信し、有線を通じて各家庭の「子ラジオ(子機、スピーカー)」に流す仕組み。電気が通っていない家庭でも受信でき、最盛期の1960年には設置局数147(うち個人経営85)、加入世帯8万4千人余に達した。

 当時は米民政府のラジオ放送があったが、沖縄の電力インフラの復興は遅れており、受信機も高値の花。このため米軍は援助資金を使い、ラジオ放送を共同で聴取できる施設を53年までに53市町村に設置した。自治体から個人への払い下げも多かった。

 今回の音源となった「渡久地ラジオ」も民間の親子ラジオ局の一つ。本部町渡久地で50年代中ごろに開局後、受信した内容にとどまらず、民謡などの自主番組を多数放送して人気を呼んだ。当時録音されたテープが残っていたことで、CD制作の話が持ち上がった。

 仲宗根源次、津波ユキ、金城実、湧川明ら地方のスターや後に民謡界で活躍する若手による13曲のほか、司会者の語り(MC)が収録されている。「八重山行」では、渡久地ラジオによく立ち寄っていたという嘉手苅林昌の歌三線も堪能できる。

 定価2千円(税別)。各CD販売店や書店で取り扱っている。問い合わせはキャンパス、電話098(932)3801。