米軍機の事故やトラブルを受け、米軍が情報提供のため公表した文書の保存期間を、沖縄防衛局が内規で5年と決め、廃棄していたことが同局を通じた防衛省への取材で分かった。公表は1996年の日米の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告などに基づいているが、運用実態を検証し、事故の再発防止を求めるべき防衛省が一次資料を持っていないことになる。専門家は「内部の情報管理がずさんだ」と批判する。(小寺陽一郎)

米軍嘉手納基地エアロクラブ所属のセスナ機が名護市に墜落したことを伝えるため、同基地が2008年10月24日に出した文書(左)。沖縄防衛局が保存しているが2014年3月31日に5年間の保存期間を迎える

 96年12月のSACO最終報告は、米軍関連の主要な事故について米側が「日本政府および適当な地方公共団体の職員に対して適時の通報が確保されるようあらゆる努力が払われる」と決めた。

 これらに基づき米軍は、沖縄周辺で米軍機が墜落事故や予防着陸などのトラブルを起こした場合、関係自治体や防衛局に対し、それぞれに同じ情報を原則文書で提供。文書には、発生日時や場所、航空機の所属、搭乗者の容体や米軍責任者のコメント、事故の概要や原因などが書かれている。

 事故の当日~数カ月後に提供されるが、内容や体裁、分量はさまざま。どのような内容をいつ提供するかは、米軍の裁量に委ねられている。

 防衛局は、こうした文書を県警の広報文や新聞記事などと一緒に、事案ごとのファイルで保存。保存期間を5年と定め、原則的に最新の文書を入手した次年度の4月1日から数えて5年後に廃棄している。

 根拠は2011年に全面施行された公文書管理法に基づく内規「標準文書保存期間基準」だが、保存期間は、遅くともSACO最終報告の1996年以降変わっていない。

 防衛局は内規に従い、2004年の沖国大ヘリ墜落事故、06年のF15戦闘機墜落事故などについて、担当者が偶然残していた米側の事故報告書など各1点ずつを除き、米軍提供のその他の文書は廃棄した。

 このため防衛局は、これらの事故について米軍がいつ、どのような文書を公表したか把握していない。防衛局が「職務の遂行上必要がある」と考える時は内閣府と協議して期間を延長できるが、現在も保存する文書で延長したものはない。

 米軍の情報提供のあり方を過去の資料と比較し、日米の約束がどのように運用されているか検証する上で支障はないのか。5年以上保存すると、どんな弊害があるのか。本紙は昨年12月までに、文書で2度質問したが、防衛局は「内閣府と協議し同意を得て廃棄することになる」「期間を延長することができる」などと手続き論だけ答えた。

ずさんな管理

 軍事評論家の前田哲男さんの話 米軍の航空機事故に関し米軍が公表した文書は、情報提供に関する日米の合意が履行されているか検証するための一次資料。少なくとも1996年以降に起源を持つものについては保存すべきだ。防衛省は毎年膨大な「防衛秘密」を廃棄してきたことも国会で明らかになった。特定秘密保護法で罰則を強める一方、内部ではずさんな情報管理をしていて矛盾している。