一昨年の衆院選や昨年の参院選を大勝に導いた安倍晋三首相にとって、二つの首長選挙が政権運営を左右する関門になっている。一つは「脱原発」が焦点になる東京都知事選。そして「米軍普天間飛行場の移設問題」を最大の争点とする名護市長選だ。エネルギー政策と安全保障政策に関わり、全国的な注目度は非常に高い

▼東京で「名護市長選はどうなっている」とさんざん聞かれた。そんな声に促されるように、2年ぶりに名護市を訪れた

▼「新リーダー誕生」「屈しない現市長」とそれぞれ主張するポスターが掲げられ、イメージカラーののぼりが各所で立つ。最終盤での集票合戦が激しさを増している

▼名護の街をめぐれば、1997年の市民投票から市長選のたび、辺野古への移設の賛成、反対で市を二分し、厳しく対立したシーンがよみがえる。家族さえもいがみ合う分断の歴史が、街の記憶として刻み込まれていることは悲しく、そして切ない

▼基地受け入れの賛否は街づくりの違いだけではない。市民一人一人の価値観、あるいは一つの人生観さえ問うている

▼全国の市町村で、これほどシビアな選択が迫られる市民がほかにいるだろうか。深刻な亀裂をもたらした日米政府の罪は重い。選挙運動も今日の午後8時まで。あす、市民の判断が示される。(与那原良彦)