【名護市長選取材班】米軍普天間飛行場の辺野古移設問題が争点となった名護市長選で、移設反対を訴えた稲嶺進さん(68)が大差で再選を果たした。政府、自民党が強引に進めてきた「移設容認ドミノ」を地元民意が食い止め、反対の砦(とりで)を守った。「市民の良識を信じていた」。稲嶺さんは詰め掛けた支持者と、何度もバンザイを繰り返し勝利をかみしめた。政府をバックに「移設推進」に踏み込んだ末松文信さん(65)だったが、支持は広がらなかった。

支持者とカチャーシーを踊り当確を喜ぶ稲嶺進さん(前列右)と妻の律子さん=19日午後10時18分、名護市大中の選対本部

 名護市民は普天間飛行場の辺野古移設に断固反対を貫いてきた稲嶺さんを再び市政へ送り出した。「名護の誇りを示した」「(埋め立てを承認した)仲井真弘多知事への不信任だ」と活気づく支持者を前に、稲嶺さんは「圧力に屈しない市民の強い気持ちを背に受け、移設問題を突き返す」と宣言。政府は市長選の結果にかかわらず、強硬姿勢を見せており、喜びを控えめに「ゴールの見えないマラソン」を走り抜く覚悟が目立った。

 稲嶺さんは午後9時35分、県立北部病院近くの選対事務所に到着。ススムコールに笑顔で応え、比嘉祐一選対本部長らと抱き合った。30台以上のカメラに囲まれた会見では言葉をかみしめるように先頭に立って移設に反対する決意を新たにした。

 大型テントの下に250席のいす、それを取り巻くように多くの人があふれた。稲嶺さんは支持者らとバンザイを繰り返し、カチャーシーで喜びを表現した。

 首元には早稲田大学ラグビー部のネクタイが締められていた。エンジと黒のしま模様。故岸本建男元市長が愛用し、妻能子さんから譲り受けた。勝負時には必ず着けてきた。渡具知武明後援会長が「これからが本番」と訴えると、稲嶺さんはネクタイに目を落とし、口を結んだ。

 1期目は移設問題をめぐる怒濤(どとう)の4年間だった。「最低でも県外」を掲げた民主政権では繰り返し「駄目」を伝えたが、結局辺野古へ回帰。自民政権では地元を無視するように移設に伴う手続きが進んだ。

 東京やワシントンへも足を運び、マスコミに追われる日々。「ストレスがたまらない?」。そう尋ねた妻律子さん(67)に「間違ったことをしているわけではない。足を引っ張られるようなしがらみもない。ストレスはない」ときっぱりと答えたという。

 2期目のスタートラインに立ち、「一人で走るマラソンと違い、たくさんの人が支え、励ましてくれる」と稲嶺さん。政府と対峙(たいじ)する考えを鮮明にした。