いくつになっても注射は苦手だ。子どものころ予防接種の日は憂うつで、思春期に入って18本の針で打つBCGには恐怖さえ感じた

▼子宮頸(けい)がんワクチン接種後に慢性的な体の痛みを訴える中高生が相次いだ問題で、厚生労働省の専門部会は接種時の痛みや不安などが体の不調を引き起こす「心身の反応」との見解をまとめた。ワクチン成分が原因の可能性は低いとみている

▼多感な少女期の思わぬ原因に驚く。体調が悪いと歩けない、と車いすで記者会見した高1生を思い出す。厚労省のまとめでは、昨年9月までに医療機関から報告のあった重篤例は538件に上った

▼原因究明に当たった専門家の報告では、患者のうち6割はカウンセリングや運動などで症状が改善した。「痛みがあっても日常生活を送れるよう治療することが重要」という

▼子宮頸がん予防の切り札として、小6~高1を対象に国による無料接種が始まったのは昨年4月。健康被害の訴えが出て、わずか2カ月で各家庭にはがきで接種を促す「推奨」を中止し、接種率は大幅に落ち込んだ

▼国は推奨再開について2月にも結論を出す。一方で、強い痛みや不安を抱え学校生活に支障が出ている少女たちがいる。再開有無の議論と同時に、専門治療など子どもたちをケアする体制づくりが必要だ。(与那嶺一枝)