長年、過重な基地負担を強いられ、理不尽さに苦しみ続けてきた沖縄の現実を、自身の目でしっかり確かめてもらいたい。

 昨年11月に着任したキャロライン・ケネディ駐日米大使が2月中旬、就任後初めて沖縄を訪れる見通しとなった。

 米軍普天間飛行場の移設問題などをめぐり、仲井真弘多知事らと会談する予定だ。

 仲井真知事は昨年末、日米両政府が移設先としている名護市辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認した。ケネディ氏は、知事との会談で、基地負担軽減の必要性に理解を示しながら、移設への協力継続を求めるとみられる。

 しかし、移設問題は、知事の埋め立て承認によって山を越したわけではない。

 辺野古移設の是非が最大の争点となった名護市長選で、移設反対を公約に掲げた現職の稲嶺進市長が大差で再選された。国の露骨な圧力にもかかわらず、市民は「ノー」の意思を示した。

 にもかかわらず、政府は選挙後すぐ、埋め立て工事に向けた調査・設計を請け負う業者を募る入札を公告し、移設手続きに着手した。一方、稲嶺市長は、埋め立てを前提とした協議には応じない考えを示している。稲嶺市長の姿勢は、公約に沿った当然の判断である。このまま国が強引に作業を進めれば混乱は必至だ。

 その責任は、辺野古への移設が普天間の固定化を回避するための「唯一の解決策」としている日米両政府にあることを、ケネディ氏には自覚してもらいたい。

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 ケネディ氏は昨年12月、世界人権デーを記念したレセプションで、父・故ケネディ大統領の言葉を引用し、こう訴えた。「1人の人間の権利が損なわれたとき、すべての人々の権利が脅威にさらされる」

 沖縄では、「世界一危険」といわれる普天間飛行場で、爆音をまき散らしての飛行訓練が昼夜構わず行われ、住民の安全が脅かされている。県外移設を求めれば、その声を政府が力ずくで抑え込み、新基地建設を強行しようとする。

 県民の平和的生存権が脅かされている。それが沖縄の現実だ。

 ケネディ氏は弁護士資格を持ち、人権を重視するリベラル派としても知られている。その視点で、住宅密集地にある普天間飛行場を、日米合意違反が恒常化しているオスプレイ訓練を、辺野古の美しい海を見てもらいたい。そして県外・国外移設の道を模索する方が現実的であるとオバマ大統領に伝えてほしい。

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 ケネディ氏は着任後、東日本大震災の被災地を訪ね、住民と気さくに交流し歓迎を受けた。沖縄滞在中も、市民と交流する機会を計画しているという。

 直接思いを届けたいと考えている県民は少なくない。古里の海を守りたいという沖縄の声を受け止めてほしい。

 辺野古移設に対しては言語学者のノーム・チョムスキー氏ら米国やカナダ、欧州などの識者29人が異例の反対声明を発表している。抜群の知名度を誇るケネディ氏の言動は、世界が注目している。