沖縄本島で最大の流域面積を誇る比謝川。その源流に近い沖縄市安慶田周辺では、復帰前後まで田んぼが広がっていたそうだ

▼今ではすっかり住宅街に姿を変えたが、あちこちにあるカー(井泉)や水路跡が豊かな水脈の存在を知らせる。昔は蛍も飛び交っていたよ、と地元のお年寄りは懐かしむ

▼自然の恩恵に浴する半面、雨水や地下水があふれやすい地域でもある。安慶田中学校では、テニスコート裏の泥地が長らく頭の痛い課題だった。常にぬかるんでいるため歩きにくく、ボールが転がり込んでも拾うのに一苦労。草は生え放題となり、蚊やヘビもすみ着いた

▼地域のボランティアが改善に乗り出したのは昨年6月。草を刈り、湧き水を1カ所に誘導して生き物観察のできるビオトープ(池)にし、農業体験用に田んぼや畑も作った

▼たまたま同校で別の工事をしていた地元の建設業者も、意気に感じて整地に協力。やっかいな荒れ地が、数カ月後には人と自然が共生する空間に生まれ変わった

▼農地では、生徒たちが稲や田イモの栽培を続けている。先日初めて4・5キロの米を収穫し、地元のお年寄りたちに雑炊を振る舞った。「おいしい!」という歓声と、生徒たちの誇らしそうな笑顔。「わったー(私たちの)学校」への愛情が、地域に実りをもたらしている。(鈴木実)