宜野湾市出身で東京大学大学院理学系研究科博士課程の新垣陽子さん(26)(興南高-琉球大卒)を中心とした野崎久義准教授研究室のチームは、世界各地の淡水に分布する藻の一種が、世界最小の多細胞生物であることを世界で初めて確認した。今回の研究が、単細胞生物から多細胞生物になる進化のメカニズムの解明につながると言い、新垣さんは「進化の謎を明かしたい。わくわくしている」と話している。この藻を新垣さんが「シアワセモ」と命名し、昨年12月に米国科学誌で発表した。(與那覇里子)

進化の謎の解明に取り組む新垣陽子さん(前列中央)ら東京大学の野崎久義准教授の研究室のメンバーら

新垣陽子さんらが確認した世界最小の多細胞生物「シアワセモ」(東京大学野崎研究室提供)

進化の謎の解明に取り組む新垣陽子さん(前列中央)ら東京大学の野崎久義准教授の研究室のメンバーら 新垣陽子さんらが確認した世界最小の多細胞生物「シアワセモ」(東京大学野崎研究室提供)

 この藻の個体の大きさは20~30マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)で、増えると肉眼でも緑色に見える。四つの細胞からなり、以前から存在は知られていたが、単細胞生物が集まった細胞群体と思われてきた。しかし今回、細胞分裂して次世代を生むとき、細胞同士が橋でつながるような構造になっていることが確認できたことなどから、多細胞生物であると結論付けた。

 今回の発見で、単細胞生物の集まり「細胞群体」とされてきた藻の仲間が「多細胞生物」と定義が変わり、生物の教科書を書き換える可能性も出てきた。

 四つ葉のクローバー状の外見と、2億年前に「幸運にも」多細胞化したと推測されることから、新垣さんが「シアワセモ」と命名した。

 人間のような複数の細胞から構成される多細胞生物は単細胞生物から進化したと考えられているが、その過程はまだ謎。新垣さんは、そのメカニズムを解明しようと、最も細胞数が少ない藻に注目し、2011年から研究を重ねてきた。

 新垣さんは、多細胞生物である証拠をつかむために細胞の培養にも工夫を重ねた。寝る間も惜しんで実験を繰り返し、電子顕微鏡での観察を重ね確認にこぎ着けた。「証拠を確認できた時は一気に疲れが吹っ飛んだ」と振り返った。

 研究チームは現在、分子レベルで単細胞生物から多細胞生物への進化の過程の解明を進めている。