今、日本人の何人に1人ががんにかかるのかご存じでしょうか? 実に2人に1人が何らかのがんにかかる時代になっています。同じ質問内容を健康な成人2400人近くに対して行った調査結果が論文で報告されています。これによれば「2人に1人」と正しく回答できたのは、約10%でした。日本は先進諸国の中でもがん大国といわれながら、私たちはがんのことについてよく知らないことが多いのではないでしょうか。

 乳がんという病気について考えてみます。現在、日本人女性の14人に1人が乳がんにかかるといわれ、女性のがん種別の罹患(りかん)率は一番多いがんになっています。しかし乳がんによる死亡率をみると多い方から数えて5番目と決して高くはありません。つまり乳がんは罹患率は高いけれど、正しく治療することによって命が助かる可能性も高いがんであると言えます。

 乳がんの病状の進行度を表す「病期(ステージ)」は全部で8段階あります。自覚症状がなく、乳がん検診で発見された患者さんの65%はステージ0~I期の早期がんです。また自分でしこり等の症状を自覚して発見されたケースでも約70%は早いうちから3段階目までのステージで見つかっており、十分に治癒を目指した治療ができます。乳がん細胞の種類や性質によっては抗がん剤を使わなくて済むケースも増えてきました。乳がん手術の70%近くは乳房を部分的に切除する乳房温存手術ができ、また乳房を摘出する手術になったとしても、今は乳房再建術という手段があります。乳がんの治療は年々進歩し続けているのです。

 自分でしこりに気がついても「乳がんと診断されるのが怖い」となかなか病院を受診できずに治療開始の時期が遅れてしまうケースがしばしばあります。もし乳がんのことがよく分からなくて「怖い」のであれば、正しい知識を普段からある程度知っておくことで、そのような場面に自分が遭遇した時に、その「怖い」思いを減らすことはできないでしょうか?(正しい知識は「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」で検索)

 乳がんを怖い病気にしないための三つの秘訣(ひけつ)があります。乳がんを決して侮ることなく検診を受けて早期発見に努めましょう。もし自分でしこりに気がついたら決して必要以上に恐れることなく早めに専門病院を受診しましょう。そして「自分には関係ない」などと思わずに乳がんという病気を普段から正しく知りましょう。(蔵下要・浦添総合病院)