米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設断念などを求めた「建白書」を安倍晋三首相に提出してから28日で1年がたった。

 建白書は県議会各会派、全41市町村長・議長らが署名し、「オール沖縄」による訴えだった。沖縄の近現代史に刻まれるのは間違いない。

 建白書は民意が押し上げた到達点である。オール沖縄の取り組みの中で、政府が主張する抑止力や地理的優位性が沖縄に基地を置く根拠にならないことを証明してきた。沖縄はもはや宿命論にくみすることはない。

 米軍基地をめぐる認識が180度変わる大転換を遂げたのである。たとえ、その後、紆余(うよ)曲折があったとしても、この認識がもはや、逆戻りすることはあり得ないだろう。

 仲井真弘多知事は昨年暮れ、県外移設の公約をかなぐり捨てて政府が申請していた辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。建白書で求めたオスプレイ配備を直ちに撤回することについても、残り12機が強行配備された。

 1年後の状況は、建白書で要求した内容に、ことごとく反している。

 辺野古埋め立てを申請してから政府、自民党は強権的であからさまな介入をしてきた。昨年11月に県関係の自民党国会議員は党本部から離党勧告の圧力をかけられ、県外移設の公約を打ち捨てて辺野古移設に転じた。県外移設が公約だった県連も党本部に屈し辺野古移設にかじを切った。オール沖縄は、崩れたのだろうか。

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 オール沖縄を支えていたのは民意である。民意をないがしろにして離脱したのが知事や自民党関係議員らである。

 沖縄タイムス社などが実施した県民世論調査では方針転換した自民党国会議員と県連に対し、それぞれ約7割が「評価しない」と批判し、県外・国外が望ましいと答えた人は77・2%に上った。

 世論調査当時、まだ承認、不承認の態度を明らかにしていなかった知事に対しては、「承認しない方がよい」が72・3%に達した。

 知事の支持率は承認後、名護市の有権者を対象にした電話調査で、24%に急降下した。承認前の県民世論調査では、57%を保っていたにもかかわらずである。

 沖縄の民意はいささかも揺らいでいないのである。その民意を裏切ったのが知事であり、県関係の自民党国会議員であり、県連である。選挙の洗礼を受けることなく県外移設の公約をほごにしたのは有権者を愚弄(ぐろう)するものだ。

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 代表制民主主義の下では、知事、自民党国会議員、県連は存在理由を自ら否定したことを意味する。原点に立ち返るべきである。さもなければ辞職して信を問うべきだ。

 名護市長選は政府、自民党、知事、県連が総力を挙げたにもかかわらず、移設に明確に反対する稲嶺進市長が大差で再選した。日米両政府が辺野古移設を断念することが、持続可能な日米同盟の関係を築く道である。政府が移設手続きを強行すれば、日米関係自体を危うくすることは火を見るより明らかだ。