【東京】日米合意に基づき2014年度末までに日本へ返還される米軍キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区(約51ヘクタール)の跡地に、日米政府が新薬の研究開発拠点の創設を検討している。菅義偉官房長官は28日の記者会見で「同地区の跡地利用は重要な課題。さまざまな医療データを新薬開発に活用する提案があるので、日米共同の事業実施の可能性も含め、県と宜野湾市の意向を踏まえ事業実施を検討していく」と述べた。

 政府関係者によると、同事業計画は北里大学の教授から提案を受けたもの。計画では「沖縄メディカル・イノベーション・センター」とし、米軍が持つ治療記録の提供を受けながら、日米の製薬会社などが再生医療技術を使った新薬の研究開発に取り組む。

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)など再生医療技術を活用した新薬開発、米軍人や日本国内の治療データを組み合わせ、新型インフルエンザなどの感染症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対応する新薬開発を検討するという。

 政府は17日、日米合意に基づき西普天間住宅地区を、駐留軍跡地利用推進特別措置法の「拠点返還地」に初めて指定。市側から「都市機能に医療、観光の分野も導入してほしい」という要望を踏まえ、同地区を医療産業の集積地域にすることも検討している。

 一方、厚生労働省と日本製薬工業協会は、新薬の研究開発拠点の実現可能性を探るため、米国防総省や米海軍医療センターを訪問するなどしているが、その実現はまだ未知数だ。厚労省の担当者は「業界団体など意見聴取を踏まえると、米軍データをどれだけ有効活用できるか疑問視する声が多かった。沖縄振興は政府にとって重要だが、民間企業が集まらなければ実現は難しい」との見解を示した。