絵画制作や音楽演奏などを通して心を病む人をケアする芸術療法に長く取り組むうるま市のいずみ病院が28日、同療法の担い手を育成している韓国の建陽大学と人材や文化活動で交流する提携協定を結んだ。同日、那覇市の県立博物館・美術館で始まった同病院系列施設の利用者による「第2回いずみの森美術館展」の開会式で締結された。(新里健)

協定書を手にする高江洲理事長(右)と朴教授。作品は韓国の発達障がいの子ども40人が共同制作した「鳳凰曼荼羅」=28日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 建陽大学リハビリ福祉教育学部で心理相談治療を専攻する朴完用教授(54)が、2011年にいずみ病院を視察で訪れたのが契機。第1弾として朴教授の下で芸術療法を学ぶ大学院生15人が4月に来沖する。今後、同病院も各療法士を建陽大に派遣し、現地に色濃く残る百済文化と沖縄文化の交流を図り、患者のケアに生かす方法を探る。

 いずみの森美術館展には精神的ストレスを抱えた韓国の患者が芸術療法の一環で描いた伝統的な「民画」12点も展示している。

 いずみ病院の高江洲義英理事長(66)は「戦後間もないころに沖縄の古民家に飾られていた絵と似ており、沖縄とルーツが近いのでは。互いをよく知り、心のケアを両地域の平和にもつなげたい」。朴教授は「沖縄に根ざした芸術療法の手法を学び、韓国の村々で昔実践されていた伝統的な芸術療法を再生させたい」と意欲をみせる。

 同展には、同病院系列のリハビリ施設に通いながら94歳で始めた塗り絵を、今月9日に97歳で亡くなる直前まで続けた女性が手がけた絵画も展示。熱心に描く姿を撮った写真も多数公開している。

 このほか、重度認知症デイケア施設を利用するお年寄り29人が、闘牛をモチーフに半年がかりで共同制作した大型絵画や、アルコール依存症で入院後に絵を描き始め、現在デイケア施設に通う男性が、東西の名画を巧みに模写したアクリル画なども並ぶ。

 訪れた人は、23~107歳の140人が制作した約80点が醸す「生きる力」を感じながら、熱心に見入った。2月2日まで。入場無料。