子豚が感染すると、高い確率で死ぬウイルス性の「豚流行性下痢(PED)」が昨年から今年にかけて県内で発生している。これまでに沖縄本島中南部の3農場で感染が確認されている。成豚を含め233頭が感染し、このうち子豚75頭が死んだ。

 国内で発生するのは7年ぶりで、県内では初めてだ。人に感染することはない。

 昨年10月に沖縄本島中部で確認されたのが今回の流行の始まりだが、感染ルートは不明だ。全国的には茨城、鹿児島、宮崎でも発生している。

 27日現在、沖縄を含めた4県で計5213頭が死んでいる。29日には熊本県で新たに35頭が死んだ。

 県は、初めて確認してから2カ月以上たったことから、感染を食い止めたと考えていたが、今年に入り2、3件目の発生が相次いだため危機感を強めている。

 豚流行性下痢は、糞便(ふんべん)を介して直接、間接的に経口感染する。激しい下痢を引き起こすのが特徴だ。子豚は脱水症状に陥り、特に哺乳豚の死亡率は50~100%に達する。

 感染は、車両による豚の運搬、豚舎への人の出入り、糞便の付いた物などが媒介する。これらを遮断するためには、出入りする車両は荷台やタイヤを中心にした洗浄・消毒の強化が不可欠だ。靴底などから糞便を除去し、消毒することも忘れてはならない。

 県は、飼養農家など関係者に、衛生管理の徹底を呼びかけるとともに、子豚が複数、連続して死亡するなど異常現象が見られた場合は、すぐに通報するよう指導している。

 農家は油断することなく、県と連携して感染拡大の阻止に全力を挙げてもらいたい。

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 豚流行性下痢は1970年代に欧州で発見された。日本では80年代から散発的に報告されるようになった。96年には大規模に発生、約8万頭が発症し、哺乳豚を中心に4万頭が死んだ。

 米国では昨年から継続的に発生し、流行が続いている。豚の運搬車両を介した伝播(でんぱ)が指摘されている。

 農林水産省によると、沖縄県や茨城県で確認されたウイルス遺伝子は、米国やアジア諸国の流行と遺伝的に近縁の関係にあるという。

 県内の感染で気になるのは、本島中部で確認した1件目の感染ルートが解明されていないことである。

 2010年に宮崎県で甚大な被害を出した口蹄(こうてい)疫問題の教訓は、「発生の予防」「早期の発見・通報」「迅速・的確な初動」の重要性だった。

 県内の最初の感染ルートを今から突き止めることは、現実的には極めて困難だ。やはり「発生の予防」に力を傾注しなければならない。

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 沖縄の豚の飼養戸数は、12年12月現在、約370戸、約22万4千頭で、戸数、頭数とも減少傾向にある。1戸当たり平均で約600頭を飼養しており、全国的にみると、小規模経営だ。

 県内の豚飼養農家の経営環境は、円安に伴う飼料価格の高騰もあって厳しいのが現状だ。豚流行性下痢をこれ以上出してはならない。農家の死活問題につながる。