県は下水処理後、海に放流されている水に、殺菌強化など高度な処理を施した「再生水」を農業用に活用する計画を進めている。糸満市北部をモデル地区に、同市浄化センターから出る放流水を再生処理する。県によると、国内で再生水の大規模な農業利用はほとんどなく、海外の先進事例などを踏まえ、2015年度までに再生水の利用計画、水質基準・管理など県独自のマニュアルを作成し、新たな水資源の確保策として普及を図りたい考えだ。(長浜真吾)

再生水利用による沖縄型水循環システム導入可能性調査

 再生水の農業利用は米国やメキシコ、ドイツなどで行われ、米国では州ごとに再生処理、水質基準を設けている。国内でもトイレの洗浄水などに使われているが、農業利用に関する水質基準などは定められていない。

 県の計画では、糸満市浄化センターに近く、かんがい施設が不十分な同市北部(北波平、座波など6集落)をモデル地区に設定。センター内に設置したプラントで、ろ過膜や紫外線殺菌などによる再処理技術を用いる。葉野菜などへの散布にも対応できるよう、飲料水に近いレベルまで水質を改善、安全性を確保する。同センターは現在、日量平均約1万トンを放流しており、周辺の湧き水と組み合わせ、モデル地区(250ヘクタール)に必要な水量(日量平均約8500トン)を安定的にまかなえるという。

 県農林水産部の「再生水利用による沖縄型水循環システム導入可能性調査」。13~15年度までの3年間に、現地調査や先進事例の研究、再生水を使った作物の生育・品質試験、処理や送水などのコスト検討を進める。有識者やJA、消費者などで構成する検討委員会の意見を踏まえ、再生水利用・水質管理のマニュアルを作成する。

 本島中南部は農地面積・生産額に比べ、水源整備が遅れており、同部では「安定的な水源が確保できれば、高収益作物の導入にもつながる。将来的には水資源が乏しい離島などでも応用できる」と説明。一方で「水質基準や水質管理を徹底して安全性を確保し、消費者の理解を得る必要がある」と、リスク管理の重要性も強調した。