散り散りの破片になった香炉、燃えてすす黒くなった墓の壁、散乱するごみ…。個人所有の墓が荒らされる事態が、那覇市の識名霊園一帯の墓域で相次いでいる。清明祭などの行事以外には墓を訪れる所有者も少ないため、ほとんどの墓が荒れた状態で放置されたままだ。被害に遭った安里清次郎さん(79)は「戦争で死んだ両親も入っている。許せない」と憤った。(富濱まどか)

墓内に散乱するソファやテーブル、ダーツボードなど=24日、那覇市識名

 一帯を調べると、少なくとも30以上の墓で香炉や花瓶が割られていた。大きな墓の敷地内には、外部から勝手に持ち込まれたと思われるテーブルやソファ、ダーツボード、食い散らかした菓子箱やジュース缶が散乱し「宴会場」のようになっている場所も見られた。また、昨年12月の連休明けには、何者かが広い敷地の墓内にブロック塀を運び込んでかまどを作り、植物やお菓子を燃やした跡が見られたという。墓壁を見ると、黒いすすがくっきり残り、そばには焼けたブロック塀が落ちていた。

 那覇署は、悪質な場合は器物損壊罪や建造物損壊罪に当たる可能性があるとしている。

 同霊園では、那覇市が納骨堂など一部の敷地を管理しているが、敷地内のほとんどが個人の所有で、原則として墓の管理は所有者に委ねられている。

 墓が荒らされる被害は4~5年前から度々起こるようになった。連休明けや3月の卒業シーズンになると特に被害が増えるという。近隣の学校や消防、警察に相談し、立て看板を立てるなど対策を取ったが、「パパイア伐採禁止」と書けば当て付けのようにパパイアの木が切られているなど、いたちごっこが続いている現状だ。安里さんは「祖先崇拝が薄れ、墓を管理する子や孫が減っている。所有者は小まめに足を運び目を行き届かせる必要がある」と訴えた。