【石垣】プロ野球千葉ロッテマリーンズが春季キャンプを開く市中央運動公園野球場で、ボランティアで芝生の手入れを続ける男性がいる。市登野城の奥間光吉さん(70)は昨年10月、55年ぶりに石垣島に帰郷。「古里に貢献したい」と市にボランティア清掃を申し出、12月から球場を使っていない日は毎日、雑草取りに励む。「選手も市民も気持ちよく球場を使っていただけるのが最高の喜び」と奥間さん。プロ野球キャンプは1日、県内で一斉に始まる。(新崎哲史)

2時間かけて抜き取った雑草を前にする奥間光吉さん=石垣市中央運動公園野球場

 父を太平洋戦争で亡くし、母も病弱だった奥間さんは市内の中学校を卒業後、那覇で調理師見習いとして働くため、島を離れた。石垣港で母に見送られ、那覇に到着した直後に母が急死したと電報を受けた。当時15歳。島に戻るか悩んだが金がなく、そのまま働き始めた。

 その後、東京で建設関係の会社に就職し、定時制高校、設計士の専門学校に通い独力で人生を切り開いた。石垣に帰郷するのは10年に1度ほど。それでも定年退職を経て昨年、帰郷すると中学の同窓生や親類から歓迎を受け、古里の素晴らしさを実感した。

 公園清掃ボランティアは静岡県で勤めていた50歳の時、「社会貢献しよう」と始め、「75歳まで続ける」と決めていた。古里の球場では毎日4時間、球場の芝生に座り込み、小型のヘラを使ってごみ袋2袋分の雑草を抜き取る。「取っても取っても生えてくる雑草との勝負。でも少しずつきれいになっている」と苦にしない。

 球場を管理する市施設管理すぐやる課は「芝生は例年よりいい状態。ロッテの選手も満足するはずだ」と感謝している。

 奥間さんは「プロ野球を見るのは20年ぶり。どんな球を投げるのか、僕もキャンプを楽しみにしている」と笑い、芝の緑色に染まったズボンのひざをはたいた。