【浦添】市安波茶にある学習塾「津梁塾」の受け付けに、ムサシと名付けられた体長約5センチの金魚がいる。得意技は「塾生の間で誰に一番なついているか」という論争を巻き起こすこと。そして、素知らぬ顔でエサをねだることだ。(平島夏実)

金魚「ムサシ」(円内)をかわいがる受験生ら=1月16日、浦添市安波茶の「津梁塾」

 「誰が一番優しい? 自分で言ってくれたらうれしい!」

 白保空花(そらか)さん(浦添中2年)はガラス鉢をなぞりながらムサシに話し掛ける。友人の冨名腰莉佳さん(同)は「ムサシに悩みを打ち明けたことはないけど…やっぱり会ったら癒やされる」と見詰める。

 ムサシは2012年8月、塾オーナーの田端美恵子さん(53)が知人からもらいうけた。当時の体長は2~3センチ。その後「みんなが自由にエサをやるからバコバコ太ってきた」と水の交換に余念がない。

 塾頭の田端豊さん(52)は塾オープン時、自宅で飼っている犬を“塾犬”にしようと考えたが、凶暴すぎるため断念した。

 いつか何か飼いたい-。そこへタイミングよく現れたのが1匹の金魚だった。

 塾内で名前を公募したところ、当時開業して間もなかった東京スカイツリーの高さ634メートルにちなみ「ムサシ」に決まった。侍風の響きは、自宅にとどまることになった愛犬「サスケ」と不思議につながる。

 「私なんかこんなに勉強してるのにさ、ムサシは自由でいいなあ」

 3月の受験に向け、塾に週7日通う西平詩音さん(浦添中3年)はつぶやく。比嘉綾音さん(同)は「合格したらここに遊びに来て、ムサシブリ(久しぶり)って言おう」と決めている。

 夜3時間の自習を続ける上原愛生(めい)さん(同)は「ムサシは何だかたくましいね」。渡慶次千寛さん(同)は「こないだ『コジロー、また明日ね』って間違えちゃった」と話す垣花美有さん(同)に「なんで!」と大笑いだ。-金魚ムサシは愛されている。