まちを歩くとピンク色に染まった桜の木が目に付く季節だ。本部町では「日本一の早咲き」をうたった八重岳の桜祭り、名護市でも52回を数える名護城下のさくら祭りが開かれ、一足早い春を告げている

 ▼桜並木を遠目に眺めるのもいいが、一本ずつ目をやると、濃いピンクや淡い桃色など、みな微妙に花色が違う。びっしり花を咲かせた木や、すでに葉桜に近いせっかちな木など、桜の個性もまた楽しい

 ▼桜だけでなくやんばるには独特で貴重な植物が数多い。乱獲の影響で自生種は「幻」とも言われる名護ランの展示会を取材した際は、かぐわしい香りが会場にあふれ、何度も深呼吸した

 ▼白く小ぶりな名護ランは可憐(かれん)な姿が愛らしいが、毅然(きぜん)と直立するもの、優雅に垂れ下がる種類などランは色や大きさ、姿形も豊富。原種は世界に3万、交配種は50万種ともいうから驚く

 ▼本部町の熱帯ドリームセンターでは、魅力の多いラン約2万点を集めた沖縄国際洋蘭博覧会が開催中だ。生花だけでなく木版画「蘭花譜」の沖縄初公開も目玉の一つ。何枚もの色版木を重ね刷りした作品は、精巧かつ繊細で一見の価値ありだ

 ▼ランを愛した大富豪が残した木版画は全84点。そのうち、会期の前後半に分けて20点ずつが展示される。目の保養に、足を延ばしてはいかがだろうか。(儀間多美子)