「上司の指示で現場に除草剤入りのドラム缶を捨てた」-沖縄市のサッカー場の土壌汚染問題で米軍関係者から新たな証言が飛び出した。

 サッカー場は、嘉手納基地の返還跡地に建設された。証言によると、サッカー場から基地内の小学校校庭にまたがる一帯は、かつてごみ捨て場として使っていた。

 その場所から、現在までに83本のドラム缶が見つかり、付着物から環境基準を超えるダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニール)が検出されている。その上、米軍関係者からも、事実を補強する新たな証言が飛び出したのである。

 証言したのは、米カリフォルニア州に住む空軍退役少佐のロナルド・トーマスさん롹(61)。軍人の父親とともに基地内に住んでいたトーマスさんは1969年、70年に、「除草剤」「嘉手納基地」と書かれたドラム缶を10個近く、軍のアルバイトで、ごみ捨て場に捨てた。

 トーマスさんがインターネット上でこの件について書き込みを始めたため、基地内の小学校の米国人保護者も不安の声を上げ始めた。

 サッカー場の汚染問題は、今や基地内の米国人をも巻き込んだ土壌汚染問題に発展しつつある。異例の展開だ。

 「臭い物には、ふた」の姿勢では、住民の不安を解消することはできない。日米両政府は「事実を認めれば市民が動揺し、政治問題化する」というような発想を捨て、住民が納得できる客観性・中立性を備えた全面調査を早急に実施すべきである。

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 米軍はベトナム戦争当時、沖縄に枯れ葉剤を貯蔵し、沖縄をベトナム向けの運搬基地として使用していた、との証言が後を絶たない。

 核兵器や毒ガス兵器が貯蔵され、化学兵器の訓練が実施され、米軍が排他的に統治権を行使していた事情を考えれば、枯れ葉剤があった、と考えるほうが自然だ。

 しかし、米軍は軍政下の沖縄に枯れ葉剤が貯蔵されていたことを公式には認めていない。防衛省も確認できないとの立場を変えていない。

 61年から62年にかけて、米軍が北部訓練場などで、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していたことを示す米退役軍人省の公式文書が2007年7月に明らかになった。だが、このときも米軍は文書の誤りを指摘し、枯れ葉剤の存在を認めていない。

 仮に記録文書が存在しないとしても、それが枯れ葉剤の不存在を証明することにはならない。トーマスさんが証言した除草剤と、ベトナム戦争で大量使用した枯れ葉剤の間にも本質的な違いはない。

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 日米地位協定によって米軍は、原状回復義務を免除されている。県内各地の返還跡地で有害物質の検出が後を絶たないのは、そのせいである。 この際、すべての米軍基地を対象にして抜本的な土壌調査を実施するよう日米両政府に求めたい。優先順位から言えばまず返還予定地である。

 そのための法制度の整備、地位協定の見直しを議題にした日米協議に早急に着手すべきだ。