自ら命を絶つことを「自殺」ではなく「自死」と言い換えるケースが増えている。文字から受ける印象もあって、「自殺」という言葉が遺(のこ)された家族の心を傷つけているからだ

▼先月、宮城県が公文書で「自殺」の表現をやめ「自死」に改める判断をした。昨年3月には島根県が、7月には鳥取県が「自死」の使用を決めている

▼呼び方をめぐっては、全国自死遺族連絡会が「自死」に変更するよう取り組みを続けている。生きたくても生きられない人がいるのに「命を粗末にした」との誤解や偏見を拭い去りたいという

▼自死遺児編集委員会などによる「自殺って言えなかった。」(サンマーク出版)を読んだ。「自殺ということは絶対に誰にも言うな」と親戚から口止めされた少女が、父親は間違ったことをしたと思うようになり、事実を知られることにおびえた、と「語れない死」についてつづっている

▼警察庁の速報値によると「2013年の自殺者数」は2万7195人。沖縄は278人。国も数年前から、その死を、心理的、社会的に「追い込まれた末の死」と位置付けている

▼言葉の言い換えで実態が伝わりにくくなるとの意見もある。ただ、遺児たちはつらかった体験を語る中で、徐々に癒やされ立ち直っていく。当事者に寄り添う言葉が必要だ。(森田美奈子)