オスプレイ配備に反対する沖縄の人たちの姿を追った琉球朝日放送(QAB)制作の記録映画「標的の村」が初めて海外で上映される。米国で3月23日(日本時間)に始まるニューヨーク平和映画祭への出品が決まった。同月中にはハワイで自主上映も予定され、現地で準備する県系2世のロバート・ナカソネさん(76)は「日米の政府ではなく沖縄の人が基地をどう考えているのか、映画を通して知りたい」と語る。

 ナカソネさんは1964年から計16年間、東京の米国企業で働き、退職した今も沖縄とハワイの交流のためなどに年3回は来沖する。ことしに入り、ハワイに住む沖縄からの留学生らと上映の準備を始めた。資金は寄付などでめどがつき現在、時期や場所、回数などを詰めている。

 きっかけは、沖縄に関する現地の情報不足。ローカル紙やインターネットで知事の埋め立て承認や、名護市長選の結果などを知ったが、伝えられるのは政府の立場だけだと感じた。「ハワイにも米軍基地はあるが、他国の基地がある沖縄とは違う。沖縄の人が基地をどう感じ、将来をどう考えているのか。ハワイに住む人に見せたかった」

 同映画祭では過去に、戦争産業を風刺したアニメや広島の被爆体験を伝える人を追った作品などが上映された。

 三上智恵監督は「海外の有識者が出した辺野古移設に反対する声明への賛同が広がっている中での上映。沖縄で起こっていることを、海外の一般の人が知るチャンスになればうれしい」と意欲を語った。

国内動員 3万人迫る

 「これまで手がけた映画と比べかなり速いペースで自主上映の予定が埋まる。上映が上映を呼び、連鎖のように広がっている」

 標的の村を担当する配給会社、東風の担当者は驚く。昨年8月以降、これまでに32劇場で上映され動員数は計2万2千人。大阪では3日からアンコール上映され、東京でも15日から予定する。

 一方、映画に共感した人による自主上映は1月25日までに37カ所であり7千人を動員。60カ所以上で予定がある。

 担当者は「見た人からは『知らなかったことを知ったから今度は広めなければいけない』という声をよく聞く」と話した。

QAB三上監督に作品賞授与 キネマ旬報

 【東京】2013年公開の映画を対象とした第87回キネマ旬報ベストテンの表彰式が8日に都内であり文化映画作品賞に選ばれた、標的の村の三上智恵監督に表彰状とトロフィーが贈られた。

 受賞あいさつで、三上監督は「映画の手法で何とか沖縄の現実を世界に伝えたかった。東京中心の利益と沖縄の利益は違うので賛否は分かれると思うが、沖縄のSOSを受け止めてくれたのは映画ファンだった」と喜んだ。