太宰治「走れメロス」の主人公は本当に走っていたのか-。小説の記述から平均速度を算出し、メロスの全力疾走に疑問を投げ掛けた中学生のユニークな自由研究が話題を呼んでいる

▼愛知県の中2村田一真君による「メロスの全力を検証」。理数教育研究所の自由研究コンクールで最優秀賞の一つに選ばれた

▼文章中の時や場所を表す記述から足取りをデータ化し、全行程をグラフに表した。その結果、往路は時速3・9キロ。一般男性が歩く速さとほぼ一致することから「歩いていた」と推測する

▼友のために死力を振り絞り「沈んでいく太陽の10倍も速く走った」とされるラストスパートでも時速5・3キロ。フルマラソンを4時間半で走る場合の時速9キロと比べても「遅すぎる」と結論付けた。題名は「走れよメロス」の方がいい、と提案するまとめ方にもセンスが光る

▼ほかの最優秀作品も野球で最も得点しやすい打順を数学的に考えたり、砂の細かさや重さを工夫して3分ちょうどの砂時計を作るなど、身近な題材を使った興味深い研究が多い。子どもの自由な発想、独特な視点にあらためて驚かされる

▼県内からも那覇市立松島小3年の神谷那央さんが奨励賞を受けた。これからも柔軟な頭の中から、大人の常識をひっくり返す研究が生まれるのを期待したい。(田嶋正雄)