県水産海洋技術センターは4月から、マグロやカジキ類の好漁場の探索を始める。先島南方の水域を対象に、マグロやカジキ類の回遊経路やエサとなるハダカイワシの分布状況を調査する。データを蓄積し、魚がたくさん集まる水域の予測システムを構築、漁業者に情報提供する。(仲田佳史)

 県周辺の水域は米軍の訓練場に取られ手狭で、久米島西方にある水域など限られた好漁場に県内外の漁船が密集している。漁獲高の減少に加え、燃油価格の高騰で漁業経営の厳しさが増す中、漁業者が効率的に漁獲できるよう支援する。県の「マグロ・カジキ類漁場開発事業」として、2014年度予算に3036万円を計上。事業期間は17年度までの4年間を予定する。

 対象となる魚種はキハダやメバチ、クロマグロ、メカジキなど。調査では回遊経路を割り出すため大型の魚を釣り上げて、背中に電子タグを埋め込み放流。水深や緯度・経度、水温などのデータを人工衛星を通じて受信する。14年度は10匹に電子タグを取り付ける予定だ。

 エサとなるハダカイワシなどが生息する水域も調査する。県の漁業調査船「図南丸」が魚群探知機でハダカイワシが多い水域を探し出し、海洋を観測。漁場としての環境条件を把握する。

 マグロやカジキなどの漁場予測は、小笠原や宮崎県などに先進事例がある。06年度から漁場予測をしている小笠原水産センターでは、メカジキがエサのプランクトンの生息域に合わせて、昼間は水深約700メートルに、夜間は海面近くに浮上しているのをつかんだ。

 調査で渦の周辺に魚が集まりやすいことは分かっているが渦が数百キロメートルと大きく、細かな漁場の位置を特定するのが課題となっている。

 田中優平主事は「漁業者から魚が釣れた位置情報を千~2千個集めないと、漁場を把握するのは難しい。行政だけでなく漁業者との連携も必要になる」と指摘する。

 宮崎県水産試験場は電子タグを付けたカツオを放流し、通り道を調べている。カツオは赤道付近に生息し、エサを求めて日本近海に北上するためで、これまで黒潮経由、小笠原経由の通り道が確認できているという。

 漁業者から漁獲高と水温、緯度・経度の情報を入手しての漁場予測も実施。漁期となる4~9月期の予測的中率は3割で、中村充志主任研究員は「精度を上げるためデータを蓄積したい」と話した。