2月18日は奄美諸島の島々の「方言の日」だ。与論町では2007年に「ユンヌフトゥバに関する条例」を制定。同年から大島地区文化協会連絡協議会も、大島地区の「方言の日」と定めた。各島々は、自身の言葉で「シマユムタの日」(奄美大島)、「島ムニの日」(沖永良部島)と表現し、催しに取り組む。条例を制定した与論町関係者は「島の方言が伝える思いを子どもたちが抱いて世界に羽ばたいてほしい」と話す。(特報・謝花直美)

各島それぞれの言い方を並べ言葉の違いが分かるようにした「大島地区方言マップ」。大島地区文化協会連絡協議会が「方言の日」に合わせ作成した

 与論町教育委員会で教育長としてユンヌフトゥバの復興に取り組んだ田中國重さん(71)は、言葉衰退の理由を次のように話す。「日本のどこへ行っても意思表示ができるようにと、かつて学校で方言を使わせないようにしてきた。私たち世代は使えるが、下の世代は理解できるが話せず、その子世代になると方言を知らない」。

 沖縄が06年に「しまくとぅば条例」で9月18日を「しまくとぅばの日」とした。それが追い風となり、同町でも07年に条例を策定、2月18日を「ユンヌフトゥバの日」と定めた。目的について「本町固有の文化であるユンヌフトゥバが衰退しつつある現状にかんがみ、ユンヌフトゥバの素晴らしさ・大切さを認識してもらうとともに、その保存・伝承を図る、ユンヌフトゥバの日を設ける」とする。

 同町教委と町PTA連絡協議会は3年前からユンヌフトゥバのことわざと英訳を一文ずつ添えた「与論のことわざカレンダー」を児童生徒向けに作成する。

 3日用のことわざは「思(ム)イドゥ 運命(ヌサリ)、請(フイ)ドゥ 幸運(ウブン)」。英語でUnless we wish, luck never comes。共通語で「願うことが運命となり、こいねがえば幸運につながる」と表記する。

 田中さんは「与論の文化として残されたことわざの普遍性を子どもたちに伝えたい。その大切さを抱き、ことわざを訳した英語とともに世界へ羽ばたいてほしい」。ユンヌフトゥバと共通語、英語など子どもたちが複数の言葉を使えるようになってほしいという。

 「ユンヌフトゥバの日」前後に、同町ではさまざまな取り組みが行われる。与論の言葉を用いた「与論(ユンヌ)カルタ」の小学生の大会やことわざ「ムイドウヌサリ」にちなみ子どもたちが夢を語る「でっかい夢語り大会」を開く。

 取り組みは学校に留まらない。同町教育委員会の田畑豊範事務局長補佐は「『ユンヌフトゥバ ちっこっーんでー(与論の言葉を使おう)』を合言葉に、職場でも与論の言葉で日常会話しようと呼び掛けている」と町を挙げた取り組みを説明する。

 「方言の日」前後には、徳之島町は第28回「島口・島唄の祭典」、伊仙町で第23回「島口つこわデー」など、意見発表や芸能を通した普及継承活動を行う。

 ユネスコが09年に発表した世界危機言語地図では「奄美語」(奄美大島、喜界島、徳之島)が「危険」、与論島、沖永良部島は「国頭語」に含まれ同様に「危険」とされた。