港川人(約1万8千年前)が発見された八重瀬町の港川フイッシャー遺跡から、およそ1・5キロ。南城市のサキタリ洞遺跡から、またも旧石器時代の貴重な遺物が出土した。どうやらこの一帯の地層には、旧石器時代から縄文時代にかけてのナゾを解き明かす貴重なカギがまだ埋まっていそうだ。

 県立博物館・美術館は、サキタリ洞遺跡のおよそ2万年から2万3千年前の旧石器時代の地層から、貝器(貝を加工した道具)の破片や人の歯、足首の骨など39点が見つかった、と発表した。

 ツノガイを加工した長さ1・5センチの円筒形の貝片は、装飾品とみられる。二枚貝を扇状に割り、縁を鋭く研いだような貝器も見つかった。

 これまで本土の旧石器時代の遺跡から発見された遺物は、石器がほとんど。貝器が見つかるのは国内で初めてだという。

 海に囲まれた地理的条件を考えれば、旧石器時代の沖縄に貝器文化が存在していた可能性は高い。

 本土の旧石器時代遺跡からは、人骨がほとんど見つかっていない。山下町第一洞穴遺跡(約3万2千年前)をはじめ沖縄で人骨発見が相次いでいるのは、石灰岩が骨の保存に適しているからだという。

 サキタリ洞遺跡の同じ年代の地層から人骨と道具が出土したということは、人類の活動痕跡を示すものである。旧石器時代研究に一石を投じる極めて貴重な発見だ。 

 県立博物館・美術館は2014年度も発掘調査を続ける。旧石器時代の人類文化の解明に期待したい。

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 サキタリ洞遺跡は、南城市玉城前川の観光施設「ガンガラーの谷」の中にある。

 09年度から発掘調査が始まった。県立博物館・美術館は12年10月、サキタリ洞遺跡の約1万2千年前の地層から石英製の石器と人骨が発見された、と発表した。

 人骨と、石器などの文化遺物がセットで発見された例はほかにもあるが、過去の発見例を数千年以上さかのぼる国内最古の発見だった。

 昨年11月には、同じ場所から「押引文(おしびきもん)土器」と呼ばれる約8千年前(縄文時代早期)の土器の破片が見つかったことが明らかにされた。

 これまで沖縄最古といわれていたのは、約7千~6千年前の「無文土器」や「南島爪形文(つめがたもん)土器」である。これらの土器よりもさらに古い土器が見つかったわけだ。縄文時代早期、沖縄のこの地域に人類が存在していたことを証明するものである。

 そして、今回の発見、と続く。

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 約1万8千年前の港川人の時代から7千年前の無文土器の時代の間には、1万年以上の隔たりがある。県内ではこれまで、この時期の遺物は出土しなかった。

 このため、考古学者の間では「ナゾの空白期間」と呼ばれ、港川人絶滅説が唱えられたこともあった。

 サキタリ洞遺跡での相次ぐ発見によって「ナゾの空白期間」が次第に埋まりつつあり、港川人以降もその子孫が続いていた可能性がある。