今月上旬、豊見城市立座安小(横山芳春校長)の学習発表会があった

▼披露されたのは歌と朗読、身体表現などを織り交ぜた「総合表現」。特別な衣装やマイクは使わない。既製の「学芸会」とは一線を画す試みだ。一人一人がはだしで立ち、肉声と身ぶりだけで物語を紡ぐ。子どもの立ち姿の美しさに目を見張った

▼共同研究者で同校の試みについて講演した十文字学園女子大(埼玉県)の横須賀薫学長は「そんな暇があったら勉強させろ、という批判があるが、学力形成には迂回(うかい)路が必要。総合表現は集中力を養うのに有効な迂回路だ。学力向上の近道は急がば回れだ」と語った

▼県教委は4月の全国学力テストの対策として春休みの補習を各学校に提言する。実施の判断は校長に任されるが、多くの学校が準備を始めている

▼補習を一概に否定しないが、横須賀さんによると学力不振の地域ほどテスト対策に走り、成果が出ないまま、さらに対策を強めて悪循環に陥る傾向があるという

▼英国に「見つめる鍋は煮えない」という格言がある。外山滋比古著「思考の整理学」に頻出する。煮えたかどうかを気にしてふたを開け、中をのぞいたりしていると鍋はなかなか煮えない。成果を得るには気にしすぎない方がよい、との意味だ。学校現場にそんな余裕がほしい。(田嶋正雄)