ことし最大の政治決戦となる11月の知事選に向けて野党側がいち早く動きだした。

 社民、共産、社大、生活と県議会会派の県民ネットが候補者を選考する委員会の初会合を開いた。選挙の枠組みを社・社・共による従来の「革新共闘」から、中道・リベラル勢力へウイングを広げたのが特徴だ。保守勢力の取り込みも念頭に置いている。

 昨年1月に県議会各会派、全41市町村長・議長が署名して安倍晋三首相に訴えた「建白書」が県民総意であるとの認識が野党側にはある。その中で求めた米軍普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイ配備の撤回-の旗の下に結集することを狙う。建白書と東京行動を主導した翁長雄志那覇市長が候補者に浮上する可能性が高い。

 昨年暮れ、仲井真弘多知事は普天間の移設先として名護市辺野古沿岸部埋め立てを承認した。その後の名護市長選は新基地反対を掲げた稲嶺進市長が再選を果たした。知事選の最大の争点は言うまでもなく、知事承認に対し、県民が審判を下すことである。

 仲井真知事の承認に際し、私たちは「辞職し県民に信を問え」と主張した。公約の「県外移設」に違反し、説明責任を果たさず、政府首脳と密談を重ねる中で「承認ありき」ではなかったのかと指摘した。県民への説明が決定的に欠け、疑念はなお膨らむ。

 仲井真知事は辞職する考えのないことを明らかにし、任期を全うする考えを表明している。承認した自らの判断に自信があるなら、仲井真知事本人が3選出馬して、県民に信を問うべきだ。

 野党側の候補者との対立軸がこれ以上ない形で、はっきりするからである。

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 野党側の取り組みに対して与党側の動きは鈍い。

 仲井真知事が去就を明らかにしない中では、知事選に向けた青写真を描ききれていないのが実情だ。

 県政与党の一角を占める公明党県本部と政策の不一致が露呈していることも大きい。公明党県本部は、仲井真知事が承認する直前に、普天間の県外移設を求める提言書を直接手渡している。昨年11月に県外移設の公約を破棄し、辺野古移設の容認に転じた自民党県連との間で政策に溝ができ、名護市長選で自主投票の決定をした。

 県議会でも野党側が攻勢を強めている。1月の臨時会では、仲井真知事の「公約違反に抗議し、辞任を求める決議」を賛成多数で可決、2月定例会では、承認に至るまでのいきさつを解明する仲井真知事を当事者とする調査特別委員会(百条委員会)の設置をこれも賛成多数で可決した。

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 百条委の審議は今週から始まる。仲井真知事は所信表明演説の冒頭で、承認について「私の言葉足らず」と釈明した。その認識をもって百条委に臨んでもらいたい。

 知事は承認の記者会見で「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置等が講じられ、基準に適合している」と述べたが、これ以上の説明はない。県外移設の公約を翻して承認したいきさつを真摯(しんし)に答弁しなければならない。