【豊見城】豊見城市組踊保存会(首里良三会長)は、同市伊良波が物語の出発点となっている那覇市宇栄原に伝わる組踊「雪払(ゆちばれー)」の台本を一部補作した。80年余りを経て、来年2月に豊見城で「復活」公演を行う。豊見城市教育委員会が一括交付金を活用し、保存会へ委託した事業。首里会長は「同じく市が舞台となる『未生の縁』同様に、市の組踊として普及させていきたい」と意気込んでいる。

 沖縄藝能史研究会の當間一郎会長によると、現存する「雪払」の台本は、宇栄原本のほか、眞境名由康氏創作本と「恩河本小禄御殿本組踊集」収録の3種類。宇栄原本は最も新しいとみられ、1929~30年ごろまで、旧小禄村宇栄原の東組の持ち組踊として毎年、村踊りで上演されていた。

 物語は、主人公の百十(ムムトゥ)が、父・伊良波大主が長期不在の大雪の日に、継母のいじめで、海で魚や貝を捕るよう命じられる。務めを終え帰途についた父は、雪の中に倒れている息子を見つけ、継母をただすと、継母はわびを入れ改心する。作中、豊見城市から糸満市にかけての風景が随所に折り込まれている。作者不詳で明治20年代以前にできたという。

 台本は宇栄原での出演の経験がある赤嶺信吉さんが、移民先のブラジルで記憶をたどって書き起こし、73年に宇栄原の関係者に送付。當間会長が内容を確認し、98年発行の豊見城村史第9巻文献資料編に掲載した。全6場構成の最後は百十が按司に出世し、馬の草刈り役がその行列を見に行くところで終わっている。

 當間会長らは大円団で締めくくる組踊の様式としては「華やかさに欠けており、最終部分が欠落している」と判断。事業の一環で、市保存会が當間会長を委員長に台本復元検討委員会を設置し、出世した百十を子や孫が踊りを披露して祝う第7場を加えた。仕上がった台本に當間会長は「地域で創り上げた組踊で、忠孝節義の組踊の思想が息づいている」と意義を話した。

 23日午後2時から、豊見城市立中央図書館である市民文化講演会で「組踊『雪払』と豊見城について」と題し、當間会長が解説する。定員50人。19日締め切り。問い合わせは同市文化課、電話098(856)3671。