米軍普天間飛行場の移設先として名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認した仲井真弘多知事に対し、承認するに至ったいきさつを解明する県議会の調査特別委員会(百条委)が19日始まった。

 仲井真知事が昨年12月27日に埋め立てを承認するまでの約1カ月間、審査を進めた県土木建築部などが部内や関係部、知事とのやりとりなどを記録する「調整メモ」を作成していないことが明らかになった。百条委が関係資料や文書の請求をしたことに対し、県が回答した。

 許認可事業でこれまで調整メモを作成したことがない、というのが県の言い分のようだが、本当にそうなのか。普天間問題は約18年にわたって県全体を揺るがしている県政の最重要課題である。調整メモを作成していないとは、にわかに信じられない。承認の決定過程の検証ができず、県民の審判を仰ぐ姿勢を県は放棄しているというほかない。

 仲井真知事は承認会見で「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置等が講じられており、基準に適合している」としか言っていない。承認の根拠が明らかでなく、県民への説明責任が決定的に欠けているからなおさらだ。

 知事は承認する直前の県議会でも「辺野古移設は事実上不可能」と答弁し、県外移設を求めていくことを強調している。国の環境影響評価(アセスメント)の評価書にも「生活環境および自然環境の保全を図ることは不可能」と指摘しているのに、その後、何があったのか。豹変(ひょうへん)ぶりが理解できないのである。

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 初日は當間秀史県環境生活部長が証言したが、知事承認への疑念は深まるばかりだ。

 同部は昨年11月29日、ジュゴンやサンゴ、ウミガメに与える影響、騒音など供用後の米軍の運用に対し環境保全対策の実効性の担保がないなど、生活環境や自然環境の観点から48件の不明点を列挙し、「懸念が払拭(ふっしょく)できない」と結論づける厳しい意見を土木建築部に提出している。

 仲井真知事は昨年12月26日の三役会議で承認決定したが、尋問で當間氏はその時点でも同部の意見は変わっていないと証言した。知事に意見を聞かれたり、進言したりする機会もなかったという。

 仲井真知事は承認に際し工事中の環境保全対策として専門家から助言を受けることを留意事項として国に求めている。環境生活部が意見を提出した段階で、沖縄防衛局からすでに似たような回答があったが、當間氏は「内容が具体的に見えず、懸念があった」と証言した。知事が国に求めた留意事項が何の担保にもならないことを意味している。

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 沖縄防衛局から追加的な環境保全対策の提示は何もない。県の環境行政を預かる環境生活部の意見を無視して承認したのはなぜか。

 調整メモがないことと合わせると、仲井真知事は本来なら不承認とすべきところを、政府首脳と密談を重ねることで承認に転じたのではないか。県民はそんな疑念を抱いているのである。知事の尋問は21日。承認決定過程の全てを明らかにすべきだ。