那覇市与儀の那覇警察署前に「ふれあい之鐘」として展示されている鐘が、琉球王国時代の15世紀中ごろに造られたものであることが、県立博物館・美術館と、琉球の鐘に詳しい京都国立博物館名誉館員の久保智康さん(55)との調査で分かった。同館は25日から3月9日まで、鐘を同館常設展示室入り口で展示する。

那覇警察署前に展示されている「ふれあい之鐘」=19日、那覇市与儀

 鐘は高さ91・3センチ、口径64・9センチ。鐘の上部の帯状の「上帯」やその下にある突起物の「乳(ち)」といった部分が、尚泰久王時代、1450~60年代にかけての特徴をとどめている。

 銘文がないため、いつできたか、どこに掛けられていたかなど手掛かりはない。銘文がない鐘は「琉球国由来記」などの記録から崇元寺など数カ所にあることが分かっていたが現存しておらず、同館の崎原恭子学芸員によると銘文がないまま琉球王国時代の鐘と特定されるのは初。

 また、鐘の下の部分にある「青海波」の模様は、日本全国を見ても類例がない珍しいものだという。久保さんは「琉球王国の鐘の特徴をとどめながら、これまでにない模様を持つ貴重な鐘だ」と話した。

 鐘の台座にある説明によると、1890年、那覇市西村にあった那覇警察署に設置され、時間を知らせていた。1925年に那覇署の移転に伴って那覇市役所に移設され、引き続き時鐘として使われた。

 沖縄戦後、廃虚の中から市民が掘り出し、波之上の護国寺で保管されていたが、88年に那覇署が現在の場所に移転したのを機に、同寺の名幸芳章住職から寄贈されたという。那覇署職員が寄付して造られたれんが積みの台座に置かれ「ふれあい之鐘」として市民に公開されてきた。