仲井真弘多知事が昨年末、米軍普天間飛行場の移設先として名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認したことを受け、経緯を審議する県議会の調査特別委員会(百条委)は2日目の20日、県の當銘健一郎土木建築部長と山城毅農林水産部長を証人喚問した。

 初日の當間秀史県環境生活部長の証言と突き合わせると、浮き彫りになったのは、承認をめぐる県の決定過程の不透明さだ。

 土木建築部長は「法の基準に全て適合していると判断した」と強調し、環境生活部の意見に対し「懸念が払拭(ふっしょく)できないということのみをもって適合していないとはいえない」と述べた。

 県環境生活部は昨年11月29日、沖縄防衛局の公有水面埋め立て承認申請に対し、申請書に示された環境保全措置では不明な点があり、事業実施区域周辺の生活、自然環境保全について「懸念が払拭できない」と指摘している。

 その意見は、仲井真知事を含む県三役が「承認」を決裁した昨年12月26日時点でも変わらなかった、と環境生活部長が初日の百条委で明言した。

 公有水面埋立法では、環境保全が不十分な場合、知事は埋め立てを不承認にできる。一方、埋め立て申請をめぐる県と沖縄防衛局とのやりとりを見ると、環境保全の疑問点や懸念材料は承認後の議論に先送りしており、全てがクリアされたわけではない。

 環境保全は、承認可否判断の要だ。県は、一番重要な問題を素通りして承認の判断を下したのではないか。

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 百条委で明らかになった中で、ふに落ちない点はまだある。

 県が承認決裁した昨年12月26日、印を押したのは知事、副知事、公室長、農林水産部、土木建築部の責任者にとどまった。

 自然・生活環境を所管する環境生活部の印は法的に必要ないかを委員に問われ、土木建築部長は「環境生活部からは既に意見を聴取し終わっているので特段合議は回していない」と述べた。しかし、行政機関として、意見の聴取と印を押す行為とは重みが違うはずである。

 また、土木建築部が昨年11月12日にまとめた埋め立て申請の審査の中間報告では、政治判断で埋め立て不要とすることも可能とする見解を持っていたことが明らかになった。県は承認の理由の中で、審査は行政手続きで政治判断の余地はなかったという立場を主張している。中間報告との整合性に疑問符が付く。

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 仲井真知事が埋め立てを承認するまで、県内部でいったいどのような議論があったのか。検証しようにも、担当部局と知事との調整内容を記録したメモは残されていないと県側は明言した。さらに仲井真知事が昨年12月25日に安倍晋三首相と会談した際の記録を県側が作成していなかったことも分かった。

 沖縄の将来を左右する判断にもかかわらず、承認に至る手続きや交渉の経過を示す記録が残っていないのは信じ難い。それならば、21日の百条委で、知事自身から明らかにしてもらわなければならない。