人口と世帯数の伸びを背景に建築ラッシュに沸く県内のアパート業界で、入居者獲得の競争が激化している。昨年は、消費増税前の駆け込み需要も重なり、アパートを含む貸家の着工戸数は7年ぶりに1万戸を突破。部屋数は今後も増える見通しで、不動産会社やアパートオーナーは入居者確保のため、サービスの充実に力を入れている。(照屋剛志)

 「造れば売れるという時代は終わった」。県内大手不動産会社の経営幹部は、業界の環境の変化に驚く。「以前は(着工前の)設計図面の段階で満室になったが、今は完成後も空きがある場合がある」と話す。中古物件も空室が目立ち始めているという。

 アパート経営コンサルティングのカセイ(浦添市)の宮城裕代表は「建築ラッシュで供給過多になり、急激に飽和状態になっている」と分析する。

 沖縄は、都市部に人口が集中するなどで、全世帯に占める賃貸物件の入居割合が東京に次いで2番目に高い上、世帯数も増加しており、全国有数の好市場。本土大手の参入もあり、近年はアパート建築が相次いでいる。ただ、建築数の増加に伴い、「5年ほど前から空室の問題が顕著になっている」という。

 本島南部に2棟を所有するオーナーは「業界の今は、借り手市場」と解説。インターネットの普及で、借り主は、外観や内装、クーラーなどの設備状況を事前に比較できるようになった。「物件が増える中、きちんと整備していないとよそに行ってしまう」と危機感は強い。所有するアパートでは、数カ月の空きが出たといい、カメラ付きインターホンを導入するなど設備を充実させた。

 宮城代表は「待ってるだけでは、部屋は埋まらない」とオーナーの経営努力の必要性を説く。「設備だけでなく、24時間対応などといったサービスを充実させないと入居者を確保できず、淘汰(とうた)される物件も出てくるだろう」と見通す。

 琉信ハウジングの金城辰也常務は「中古物件でも壁紙の張り替えや、ペンキを塗り直すだけで顧客の印象は大きく変わる」とし、細やかなサービスも充実させる。中部興産は、アパートオーナーの勉強会を毎月開催。上地盛和常務は「オーナーとのコミュニケーションを密にし、顧客ニーズに合った物件づくりを目指す」と意気込む。